聖皇女コーネリア 外伝

□悲劇の予兆
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それはコーネリアが聖皇女となる試練の旅に出る、遙か遙か昔の物語。
魔の王アスタロトの二人の妃、彼女らが産んだ二人の王子達を巡る、とても哀しい哀しいお話である。


初代聖皇女ミリアリアが魔の王アスタロトと闇の眷属を封印してから、十四年もの月日が経過した頃。
当時、アスタロトには心から愛する人間族の女性がいた。

通常、ティルワンで暮らす者達は地上界ユニヴェールに住まう種族を憎み、見下す傾向にある。
しかし、封印される前に魔の王はとある人間の女性を見初め、第二妃にと望んだ。

彼女もまたアスタロトを愛し、彼と共に闇の世界へと封印される道を選んでしまう。

当初は多くの魔者――主に貴族階級の者達――が反対し、王に対して異議を唱えた。
だが、魔の王はそれらの声を全て一蹴し、人間族の女性アリアを二番目の妻としたのである。
アスタロトには既に王妃がいたのだが、彼女との中は既に冷え切ってしまっていた。
……いや、王妃は夫を愛しているのだが、魔の王はとうの昔に彼女を女として見なくなっていたのである。

元より、親が決めた許嫁であった王妃に対して、アスタロトは愛情など抱いてはいなかった。
王族の責務として周囲に言われるがまま名門貴族の姫君を王妃に迎え、義務として子を設けたのである。

魔の王が新たな妃を迎えた……しかもそれが人間族ともなれば、王妃や周りの者達は心中穏やかではないだろう。
 

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