聖皇女コーネリア

□第12章
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恋に落ちた途端に失恋してしまった時と同じ位、ショックなようだ。

がっかりした面持ちを見せ、傍目から見て分かる程に残念がってしまう。

実は先程あげた者達以外にも、女性の親族――しかも独身――がいたりする。
けれども、彼にとってかなり苦手な人物なので、わざと除外したのだ。

「そう……ですか。……ん?」

ふと、何か思いだしたかのように声をあげる。
じーっとアケメネスを見つめたかと思えば、合点がいったかのように腕を叩く。

「アケメネスさん、ひょっとして貴方のお父上は聖騎士団長ペルーシャ公爵ではありませんか?」

エディがそう言った途端、その名に聞き覚えがあったのだろう。
コーネリアも納得するような表情を見せる。

「ああ、そうだが。それが何か?」

肯定する言葉に「ああ、やっぱり!」と、嬉しそうな顔になるエディ。
喜んだり落ち込んだり、また喜んだりとなんともせわしない男だ。

「どうりで聞き覚えのある名前だと思っていましたよ!」

「ペルーシャ公爵家といえば、ビフレストの大公家と縁戚関係のある名家ですよね」

流石に元皇族なだけあり、コーネリアは各国の王族達の繋がりを、ある程度は把握しているようだ。

ビフレスト公国はアリストレア皇国、アンドヴァリ王国に次ぐ世界三大国の一つである。
ユニヴェールの南に点在する、サウリア諸島で最も大きい島を国土としていた。

遺跡や遺物が他の地域よりも多く発掘される事から、古代文明の研究がかなり盛んな国家として有名だ。
次期大公たる公子も、熱心な研究家である。

「うむ、現大公は私の祖父にあたるが……」

どことなく歯切れの悪い物言いは、あまりこの話題に触れられたくないといった感じだ。

聖騎士団長の息子。
名門公爵家の生まれ。
大公家の血筋。

それらの要因からアケメネスは、心無い者に親の七光と思われがちである。
故に、そういった話題は好ましくないのだろう。


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