絶えたる誓いを護り抜け

□幼き胸にいを秘めて
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「……あれ? ここどこだろう?」

成明の視界に写るのは、どこまでも続く灰色の空と、透き通る水面。

「みずのうえにたってる」

水面のは成明が動く度に波紋を作り、消えていく。

「そらにおつきさま、でてないのに、みなもにはおつきさまがある……。ふしぎなところ」

灰色の空には出ていない月が水面に映り込んでいる。
波紋を受けて揺らめく月は、綺麗な満月。


歩く度に現れる波紋が面白くて、成明は水面を走り出した。
普段は走ったりすれば咎められるのだが、ここには成明しかいない。

元々、肺が弱いのですぐ息が上がるのに、ここではどれだけ走っても胸が痛くならない。

それが嬉しくて、成明は飽きるまでどこまでも走った。

「ここはふしぎ……」

成明以外、誰もいない世界。
普段、誰かが傍にいることが多い成明にとって、一人で広い場所にいることは少し淋しい気もする。

「でも、こわくはない」

この世界は誰もいなくて淋しいけれど、怖さは感じない。

「……よんでる」

空から降る声に導かれるように、成明は瞳を閉じる。
大きく息を吐くと、水面から立ち上った水が成明を包み込んだ。

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