絶えたる誓いを護り抜け
□生まれ出小さき灯
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自分に残る一番古い記憶は、祖父とのものだ。
着袴の儀を終えたばかりの、まだ寒い冬の日のこと。
その日はとても早くに目が覚めてしまったのだ。
もう一度寝ようと努力はしたが、寒さも手伝って寝付く事が出来なかった。
仕方ないので部屋の外に出てみると、祖父の部屋から明かりが漏れていた。
普段はなるべく近寄らないようにしていたのだが、その時は何をしているのだろうと興味が沸いて、袿をずるずると引きずりながら祖父の部屋へ向かったのだ。
部屋の前まで来た所で、音もなく戸が開いた。
急に明るくなった視界に、目を白黒させていると、不意に身体が中に浮く。
驚いて手足をばたつかせると、身体はすぐに降ろされれ、背後で戸の閉まる音がした。
「こんなに早くにどうした?」
ー目が覚めてしまったの
明るさに慣れた目で声のした方を見れば、祖父の十二神将がいた。
成明の来訪に気付いた彼女が部屋に招き入れてくれたのだろう。