絶えたる誓いを護り抜け

□幼き胸にいを秘めて
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「成明、大丈夫か?」
「うん」

茵に横になる成明に勾陣が袿を掛けてやる。

周囲の心配を余所に、成明は数えで六つになっていた。年が明ければ七つになる。

季節の変わり目には必ずと言っていいほど体調を崩すが、それを除けば元気に悪戯をする普通の子供だ。

「何か欲しいものはあるか?」
「だいじょうぶだよ」

今も質の悪い風邪をひいてしまっていて、数日ほど高い熱にうなされていた。

本当は苦しい筈なのに、成明は大丈夫だと言う。辛いのを我慢して。
それは成明が大きくなってきたという事なのかもしれないが、見ている側からとしては少し淋しい気がする。

「何かあれば声を掛けるんだぞ」
「うん」
「勾陣様がお眠りになるまで、私達が傍におりますので」

そう言って、太裳は成明の額に手を乗せる。

「熱も少しずつ下がってきていますね。もう少しすればきっと良くなりますよ」
「そのためにはちゃんと寝ないとな」
「うん。ふたりとも、おやすみなさい」

素直に目を閉じた成明から、程なくして規則正しい寝息が聞こえて来る。

「では、私は水を換えて来ますね」
「私も晴明に呼ばれている。とりあえず眠ったようだし、大丈夫だろう」
「そうですね」

もう一度、成明の様子を確認した勾陣と太裳は、音を立てないようにそっと成明の部屋を後にした。

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