定色
□血の匂い
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次の日。
その日の業務が終わったギンが、寮に戻ろうと五番隊舎から出てきた所に、乱菊が仁王立ちに立ち塞がった。
「!」
「昨日は世話になったわね。」
「世話?」
「そうよ。貸しは返してもらうわよ。」
「貸し?」
腕組をして、乱菊はギンを睨む。
「世話になって、貸しがあるて。...んなアホな。」
ギンはブツブツ言いながら歩き始めたが、そのまま乱菊にぶつかった。
「何や。避けへんから。いや、えっと、あの、...ごめん。」
それから、ふと、乱菊の胸をみて固まる。
「なっ。何よ」
乱菊は、ギンが自分の胸元を見ていることに気がついて真っ赤になって俯いた。
ギンも慌てて目を逸らす。
「ぷっ」
二人は同時に吹き出した。
それから暫くの間笑っていたが、思い出したように、乱菊はギンの手を引いた。
「ああ、お腹すいた。奢ってよね。」
「はァ?」
「死神様でしょ。奢ってくれるくらい良いでしょ。」
手を握ったまま歩き始める。
「いや、まだ給金出てへんし。」
「ツケよ。ツケ。」
「はァ...かなんわ。ヘトヘトなん。ボク」
「いいの!」
ギンは頭を掻きながら引っ張られて行く。
繋がれた手。
彼はじっと見てそれから、少しだけ握った手に力を込めた。
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