銀色

□忠告
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業務に追われて遅くなり、オレは一人昼飯を食いに行った。
昼下がりの食堂で、おばちゃんが食器片付けとる音だけがしとった。

向こうの席では、いつも出会い頭に攻撃してくる、ま、可愛いっちゃぁ可愛い女が、今日はなんだかしょぼくれて、オレが来た事には気づいているはずやのに、いやに静かにしとる。


「なんじゃ、ひより。お前も一人昼飯か? 便秘か。そないな辛気臭い顔して。」

「うるさいわ。ほっとけ」

「うっわ、可愛げの無いやっちゃな。ま、ええわ。そうや。この後腹ごなしに散歩でもしぃへんか。」


大きな目見開いて、そんなんほっとかれんじゃないか。ま、歩いとる間に重い口も開くやろ思って誘うたんや。

飯を食い終えて、オレはひよりを連れて、そぞろ歩いた。
そんで、喉も渇いたし、途中の団子屋で休憩したんや。


「どうしたんや。お前らしゅうないな。」


何時にも無く口の重い。

こういう奴っちゃから、誤解されやすいが、ひよりはまだ感じやすい女や。
乙女や言うてもいいぞ。ま、見た目はアレやけど。いやいやいや。それに気弱な所もある。それを知られるのが嫌で大きいこと言うて強がるんやけどな。
オレらも、どうしても可愛いて甘やかしてしまう所はあるな。ま、こいつには言われへんけど。


「あんな真子、仕事なかなか上手いこといかへんねん。あんなんが隊長や思たら、どうしても言うこと聞かれへん。
 あいつが力も頭もある事はわかるんや。でも、でもな、どうしても納得いかんねん。
そうこうしとる間にな、なんか、隊員らからもナメられとるような気がしてな。
 ウチ、副隊長や。皆の手本にならんといかんと思てる。せやけど、なんか、子ども扱いされとるような気がするんや。どうしてええかわからんねん。」


うーん、子供か。いやオレは子供なんて思うてないで。ま、胸はまだ発展途上みたいやけどな...。お前これでなかなか真面目で真っ直ぐやから、自分の中でこれや思たら、ガチガチになりすぎるんや。理想は理想。もっと柔らこうならんと。


「そうか...。」


本当は全部わかっとるんやろ。お前。オレは、いろいろ言うて説教臭うなってもなんの足しにもならん思うて、ボチボチ話すのをただ、相槌うっとったんや。


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