銀色
□蛇の涙
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からん
からん
からん
何かが壊れていく音がする。
この男を倒すためだけに。
この男を倒すために。
表情は捨てた
感情もすてた
それなのに
首筋を這う唇があまりにも不快で震えた。
唇を噛んで叫びを堪えた。
生暖かい息がかかる。
それは愛でも
欲でもない。
服従の儀式。
越えなければ
倒さなければ
果てなく続く終わりのない儀式。
身動きの取れない狂気の挾間に
知らず飛び込んだボクは
まだ自らに残る心を殺していく。
此処に或る必要はないから。
心を預けてある場所を想った。
涙は流れない。
蛇は涙を流さない。
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