銀色

□蛇の涙
1ページ/1ページ


からん

からん

からん

何かが壊れていく音がする。

この男を倒すためだけに。

この男を倒すために。

表情は捨てた

感情もすてた

それなのに

首筋を這う唇があまりにも不快で震えた。

唇を噛んで叫びを堪えた。

生暖かい息がかかる。

それは愛でも

欲でもない。

服従の儀式。

越えなければ

倒さなければ

果てなく続く終わりのない儀式。

身動きの取れない狂気の挾間に

知らず飛び込んだボクは

まだ自らに残る心を殺していく。

此処に或る必要はないから。

心を預けてある場所を想った。

涙は流れない。

蛇は涙を流さない。

.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ