銀色

□落日
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俯く少年の目を落胆して見つめた。

最後の小さな希望。

乱菊との未来をもたらしてくれるかもしれないホンのわずかな希望だった。

そりゃそやろね。

ギンは諦めの悪い自身を嘲笑する。

気が遠くなるほど長い雌伏の時間。
その終焉が近い事を感じた。


上司であり、唯一の敵であるその異形に門を開けるように命じられる。

その時懐かしい霊圧が近づいてくることを感じた。

急ぐ必要があった。彼の女から出来得る限り遠ざかること。ずっと努めていた事だったから、この火急の時に違える訳にはいかないと彼は思う。

一目会いたいと思わないでもなかったが、形だけでなく心まで何か変わってしまった藍染に今までとは違う僅かな畏怖を感じて、ギンは何も言わず穿界門を開いた。
      

…………………


入り口には懐かしい光景が広がっていた。

それは気が遠くなるほど遠い日々。
唯一幸せだったかもしれない僅かな時間を過ごした場所だった。

ほんの少しだけ見つめて、ゆっくりと覚悟を決めた。

時の終わりを。

高揚する自分を感じた。

生涯唯一の敵の背中から決して目を離さずに、ギンは歩き始めた。

幸せの残渣の地を振り返りもせずに。

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