空色

□発つ
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軽く息を立てて眠る乱菊の頬にそっと触れた。

軽く眉根を寄せて、何事か寝言を呟きながら彼女は寝返りを打って、それから僕の名を小さく呼んで口角を上げた。

胸が僅かに跳ねる。

どんどん自分の中で大きくなっていく彼女の存在という物に恐怖する。

僕にもう自由はない。

不完全で或る彼女と

不完全と為った僕。

消滅してしまわない様に互いに埋め併せたとしても

何れは失ってしまうという予感。

強い焦燥感に

居ても立ってもいられなくなって

僕はそっと彼女に僕の分の夜具をかけ

立ち上がった。

彼女の欠片を取り戻す為に。

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