空色
□煌めく
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疲れているのか滅多に無く深く寝入っている彼を起こさない様にそっと布団から出た。
辺りは既に明るくなっていた。
窓から柔らかな朝の光が差し込んで、ギンを優しく照らす。
子供みたいに俯せに眠る彼を暫く眺めていた。
少し猫背の肩から伸びる意外と逞しい腕。光が撫でていく。
細く長い指先。
つくん
昨夜の記憶にほんの少し心臓が跳ねた。
蒼く透ける様な瞼を縁取る、髪よりは少し濃い銀色の睫毛が、光を溜めて煌めいている。
起こすのがもったいなくて息を殺した。
それでもその内、彼は目を覚ます。
寝たふりをしながら、何か企んでいる様に口の端を少し歪めて笑う。
私を抱きしめる。
掠める様にくちづけて
それから何時もの様に
背中を向けて出て行くのだろう。
今日だけはそれを見たくなくて
先に行く準備をした。
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