空色
□漂う
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作られたシーツの波を
私の指が掴む。
ユラユラ揺れる。
貴方の細い、長い指が
上からそっと私の手を包む。
そうして動きを止めて
うなじ、耳たぶ、唇を這わせて
右頬から口角へ。
私は躯を返そうとするけれど
快い重みが、それを許さない。
目線だけが私の自由で。
貴方を追う。
怯える程に透明な、淡い空色が私を捉える。
そうして、紅い灯を燈す。
愉し気に歪む口の端。
荒い波。
貴方を見失わないよう、目を開けていたつもりだったけれども
気が付けば、何時もの様に
ほんの少し温みの残るシーツの波に指を沿わせて、
触れる筈もない船を探していた。
遭難者の様だわ、と
クスリと笑い
もう暫く漂っていたくて
私は、瞼を閉じた。
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