銀色
□忠告
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「12番隊副隊長サンは、今日はどないしはったん?」
なんやのこのガキ。馴れ馴れしい。
ひよりは、座って足をプラプラさせている天才少年といわれている子供を睨み付けた。
彼は、ニヤニヤしながらこちらを見て、
「なんや、分かりやすいお人やねぇ。」
などと、益々癇に障ることをつぶやいている。
「何なんやワレ。まさか喧嘩売っとるんか。」
もともと、気持ちに余裕がなくなっていたからか、つい声を荒げてしまった。
「まさか、滅相も無い。けど、そないピリピリしてはったら、なんやからかいとうなるし。
上に立つお人なら、もうちょぉ気持ち顔に出すのやめはったら。その方が賢いて。」
少年はふむふむ言いながら自分で自分に肯いている。
痛いところを突かれて、ひよりはカッとなって、
「お前みたいなガキに言われとうないわ。ウルサイ。だまれ。」
思わず掴み掛かる。
「なんや。かなんわァ。」
ギンはポリポリ頭を掻いて、それから、一瞬悪戯を思い付いた様な楽しげな表情をした。
そしてふいに立ち上がり、ひよりの顔を覗き込んで、
「気ィ短いと、長生き出来ひんで。12番副隊長サン?」
クスクス笑いながら、そう言った。
そして、うっすら眼を開けて。
微かに緋色が走る。
ひよりは真っ赤になって、立ち上がろうとしたが、なぜかそう出来なかった。
ただのガキや。
そう思うのに。
自分が怯えている事には気づいてなかった。
「団子もろうて来たで。」
その時、平子が暢気な声で、戻ってきた。
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