暇つぶし(´ω`)

□ココロ
1ページ/2ページ

---光が、まぶしい。
  ここは???
「目が覚めたか。具合はどうだ?」
 低い男性の声、声の主は白衣を着た男。
「あなたは??」
「わたしは、科学者だ。
 視覚のプログラムもうまくいったか」
 手を引いてもらい、起き上がる。
「わたしは??」
「君は、アンドロイド。
 そしてわたしの希望だ。」
 あぁそうだ、わたしはアンドロイドだ。
「希望・・・?」
「意味ならわかるだろう、
 辞書もインプットしてあるから。」
「わかります。希望、あることの実現を願う こと、その願い。あなたの願いとは?」
「わたしの願い、それは・・・
 ココロをもつことだ。」
「ココロ・・思いという意味、あなたは生き ている以上もっているのでは?」
 すると、科学者となのる男は苦笑した。
「それがどうやら、
 わたしには足りないらしい。」
「足りない??心に量などないのでは」
 科学者は苦しそうにせきこんだ。
「わたしもよくわからないのだ。
 だから、科学者として疑問を解決したい」
「ならば、あなたが解決すればよいのでは」
 科学者は言葉をつまらせた。
しかし、1、59秒後、静かに答えた
「わたしの生命は、
 その時間をたえられないようでな」
 わたしは首を21度傾けた。
少し機械のきしむ音がする。
「のばせばいいのではないですか」
 「そうもいかないのだよ」
 生命。人間とはなんて不便なのだ。
時間が限られているとは。
「それがわたしの在る意味なのですか」
「あぁ、そうだ。」
「わかりました。
 命令の完了はどのように報告すれば?」
 科学者は3.32秒考え、
「レポートを書いた上、
 墓の前でそれを読んでくれ」
 矛盾している。
「死後には体の機能は全て停止しています
 聞き取ることも見ることもできません」
「だが、一般的な人間はそうするそうだ。」
「だからといって、する必要はないのでは」
 科学者は寂しそうに少しだけ、笑った。
「一般的な人間になりたいのだよ」
 わたしはその時の言葉は理解できなかった
なぜそんな顔をするのかも。
 しかし、その顔と言葉は、
なぜだかこの時の一週間後、
科学者の死後もふと、
わたしの頭をよぎったのだった。

 
 
 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ