▼その他

□涙想。
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旅禍らしい。
あんまり瀞霊廷に侵入者はこないワケだけど、うるさい位に警報は鳴ってパタパタと地獄蝶が舞った。
総隊長は余裕綽々、私も何も心配はない、だっていざというときは総隊長がいるもん、あぁ総隊長自ら赴くなんてのはないのかな。


そう考えながら私の足は四番隊にずんずん進む。
旅禍にやられた愛しの愛しのお兄ちゃんのお見舞いに行こうとしたら大きな爆発音がしたんだもの、話によるもマユリさんが向かったとか、あぁ、嫌だ嫌だ。



「…ぁ!流琉花さんッ今十二番隊長様がッ」



『聞こえた聞こえた―やんなっちゃうよーありがとー』



マユリさん何してんのさ、お兄ちゃんケガしてるでしょうに…
出入り口に近付いて中に入るとお兄ちゃんの声が聞こえた



「あなたにお伝えできることはこれっぽっちもありません」



わ、言ったなぁ。でもマユリさんちょっと怒ってる。マユリさんは左手をぐわっと上げて叫んだ



「…良かろう!ならば失態に相応の罰を受けて貰おうじゃないかネ!!」



振り上げた手を私が掴もうとしたら私の横から大きな影が通り抜けて彼がマユリさんの手を掴んだ。


「…驚いたなてめぇはいつの間に他隊の奴を裁けるほど偉くなったんだ?」



剣八さんだ、マユリさんは何言か話すと帰るみたいでこっちに近付いてくる。


『―マユリさん』


「おやぁ流琉花来てたのかネ?」


『あんまりお兄ちゃんをイジメないであげて下さいな』



「フン、相変わらず生意気な口だヨ。」



マユリさんはそう言って私のオデコを掌で軽く叩いてからその場から去った。
ネムさんは会釈だけしてくれてよく出来た副官殿だと思う。



「流琉花、そこにいねぇでこっち来い」


『はぁい』


剣八さんに呼ばれてお兄ちゃんの方に近づく。



「…隊長…」


「やっほっ!」


「…あ、副隊長もいらしてたんですか」


「だいじょうぶ!?心配したよつるりん!」


「そのあだ名はやろっつったろドチビ。」


何言ってんだか…2人の話を聞きながら私は手拭いを濡らして絞って、



「聞いたぜ負けたんだってな」


だからこそ包帯をぐるぐるにした状態でここにいるワケなんだけども


「…申し訳ありません敗けて永らえることは恥と知りつつ戻って参りました」


とか言っちゃって…私はお兄ちゃんが生きてて嬉しいけどな、


「…強えのか」


「強いです」



剣八さんに質問されて即答しちゃうなんて、あぁもう馬鹿。
また私は手拭いを濡らして絞って、
剣八さんは旅禍の向かったトコと特徴そして名前を聞いて外に出た。やちるさんが私に元気よく手を振るもんだからつい手を振り帰してしまった。可愛いなぁ。


また私は手拭いを濡らして絞って、


「流琉花」


『…なぁに』



「お前さ、さっきから」


私はまた手拭いを濡らして絞った。



「俺の頭拭いてんだ?」



『…ホラ…輝きが鈍らないよーに…』


「喧嘩売ってんのかよ」



『まさか、心配してきてあげたんで、す!』


私は言葉尻を上げてお兄ちゃんの顔に手拭いを叩きつけた。


「…いてぇよ」



『それは良かった』



「…ったく…悪かったての」

『馬鹿じゃん?』



私はお兄ちゃんの上に跨って腰を下ろすとお兄ちゃんは痛むのか多少顔を歪めた。


「フツー傷の上に足乗っけるかぁ…?おい」


『甘えてるんだよ』



「……チッ…仕事はいーのかよ、サボりかぁ」


『私は総隊長に何も言われてないからね』



「………」



『つまり、わかるよね?』


「……相変わらず甘やかされやがって」



『まぁね』



「…じゃあ、行かなくていいのかよ」


『行くよ。お兄ちゃんに甘えてから、ね』



私はお兄ちゃんの包帯だらけの胸に頭を乗せてちょっとため息、本当はお兄ちゃんの看病してあげたいけどそれは四番隊の役目だから、仕方ないのです。






















旅禍だそうです。
(いってこようかな、)
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