讖戦組
□禁煙@
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「海、禁煙しなさい!」
「……はぁ?」
鈍器で頭を殴られたような、俺にとってはそのくらい衝撃的な一言だった。
彼女…扠烙 訊の、そのセリフは……。
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俺は久し振りに明日から連休を貰った。
まぁ連休と云っても二日間だけだが、俺達の仕事を考えれば例え二日間だけだとしても休みを取るのは中々に難しい。
故にいくらイケメンな俺様でも、顔や行動に出さなくとも、心で浮足ぐらいは立つ。
久々に彼女のマンションで心と身体、そして久しい欲求を満たそうと思い、定時に上がれるように仕事を何時もの何倍もスピードを上げて仕上げ、ワザワザ局長に外泊許可も貰ってきた矢先の出来事がアレだ。
それも彼女の部屋の玄関先で。
「……俺、何云われてんのかさっぱしなんだけど?」
「は?アンタ脳ミソ空っぽなワケ?私は『禁煙しなさい!』と云ったのだよ?後輩くん」
「誰が脳ミソ空っぽか、ゴラ。俺が聞いてんのは理由だ。何だって急にそんなこと言い出すんだよ?つか、後輩くんって呼ぶな!樹が見てるアニメ思い出す!!」
「それってもしかして『さ●ら荘の●ットな彼女』?へー、恋愛?系見てるなんて、樹君意外な趣味〜」
「お前も見てんのかよ……!!」
思わずツッコミが出る。
会話の軌道がズレた。
どちらにせよ、ユックリと理由を聞かねばなるまいし、俺は仕事終えてから直でこっち来たから腹も減ってる。
そして何より此処は玄関先だ。
取り合えず俺は訊の部屋にへと上がり込み、彼女と一緒にリビングにへと向かった。
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