小説2

□第8話 ハロウィン
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練習が終わり、絵里と紫苑はいつも通り手を繋いで一緒に帰っていた




そこで絵里が練習中にみんなで考えていた
ハロウィン前哨戦の新たな戦略を紫苑に説いている




絵里「今度のライブ、にこや花陽はインパクトが大事だって言ってるんだけど………


どう思う?」




紫苑「………確かに印象に残りやすい1つの要因ではあるね。


具体的に何か考えたりした?」




絵里「漠然とだけどね………

明日ちょっとやってみようと思うの」



紫苑「そっか……


まぁ、じっくり考えてみたら?」クスッ




絵里「…………なんだか今回の紫苑、投げやりじゃない?」ムー




いつも以上に飄々とした態度の紫苑を不振に思う絵里




紫苑「そう見えたか………



別にそんなつもりはないよ。

ただ、次のライブはおそらく君達が一段階上に行けるかどうかの境目になると思ってるから……」




絵里「私達の、レベルアップのため……?」




紫苑「まあね。


結局、僕が何を言おうとそれをどう受け止めるかは君達次第なんだよ。


言われた事をただ従順にこなしているだけでも、為にはならない。


自分達で見つけて、気づいて、自覚して……


そうやって一歩ずつ進んでいかないと駄目なんだ。


だから、今度のライブは僕はあえて傍観に徹するつもり」




紫苑の口述に絵里は耳を傾けて聞き入っていた



そして改めて、紫苑の事を尊敬した




絵里「……………本当の先生みたい」ポカーン




紫苑「一応、それを目指す教育実習生っていう立ち位置なんだけど………」ニガワライ




絵里「ふふっ、でもわかったわ。


私達の本質を自覚すること………

それが大切で、私達のこれからに繋がっていくって事は」




紫苑「…………ああ、頑張ってね」クスッ




そして絢瀬家に到着




紫苑「さぁ、着いたよ」



絵里「うん、今日もありがとね」



紫苑「好きでやってる事だから、いいよ」




絵里「…………ん///////

それじゃあまた明日ね!///」タタタッ



玄関へと入っていく絵里を見送って

踵を返そうとする紫苑




だが




亜里沙「Σ紫苑お兄ちゃん!!」ガチャッ




紫苑「えっ?」



亜里沙「っ!!」ダキッ!



紫苑「っとと…………亜里沙ちゃん……」ギュッ



いきなり玄関から飛び出してきた亜里沙を抱きとめる紫苑



どうやら相当切羽詰まっている様子だった




絵里「亜里沙!」



絵里もいつものように亜里沙を追って戻ってくる




紫苑「クスッ、この姉妹は毎度賑やかだね。


それで、どうしたの亜里沙ちゃん?」ナデナデ



亜里沙「あっ、あのねっ………

ちょっとお兄ちゃんにお願いしたい事があって……」



紫苑「うん、どんなこと?」



亜里沙「……………えっとね」






*********************




紫苑「臨時講師……?」



一度絢瀬家にお邪魔してリビングで話を聞く紫苑




亜里沙「うん…………


私、中学校でダンス部に入ってるんだけど

今日突然先生が…………ホージ?

があるからって言って、
今週の金曜日、学校に来られなくなったみたいなの…」




紫苑「ああ………法事ね………」




亜里沙「それで…………その日だけでいいから……

練習に付き合ってほしいなって思って……


もちろん!μ'sの事があるのは知ってる!

だから、無理にとは言わない………」



紫苑「……………そうだね…………」




絵里「金曜日…………ハロウィンイベント2日目ね。

その翌日は私達のライブの日……」



紫苑「……………亜里沙ちゃん、いつも練習は何時からやってるの?」



亜里沙「授業が終わってからだから……


3時半くらいから始めてる」



紫苑「………時間は合わないこともない、か…」



紫苑は少しの間瞑目して考える






紫苑「…………………うん、分かった」




絵里・亜里沙「Σえっ!?」




紫苑「いいよ亜里沙ちゃん。引き受ける」ニコッ




亜里沙「Σいいの!?」パアアアッ



紫苑「ああ」




亜里沙「やったあ!!」ガバッ




もう毎度のように嬉しくなると紫苑に抱きつく亜里沙



絵里「あ、亜里沙……そんなに抱きつくと紫苑が困るでしょう……!?」アセッ




亜里沙「ふえっ?


………お兄ちゃん、困ってる……?」ウワメヅカイ




紫苑「クスッ……いや、むしろ嬉しいかな。


今までこんな風に甘えられた事なんてないから、逆に新鮮だよ」ナデナデ




亜里沙「ふぁぁ…………///////」トローン




絵里「……………」ムー




なんだかモヤモヤして納得のいかない表情で紫苑を見つめる絵里



それを見兼ねた紫苑




紫苑「絵里、君もおいで…」



絵里「えっ!?


で、でも………迷惑じゃ………」



紫苑「僕は誰よりも、君に甘えられたいんだけどな……


恋人の君に」ニコッ



絵里「………………っ////////」スッ



絵里はうつむきがちに紫苑に近づいていく




絵里「(そんな言い方………ずるいっ……///////)」ギュッ




亜里沙「お姉ちゃん……!」ニコニコ



紫苑「クスッ……///////」ギュッ




片手で絵里、片手で亜里沙を抱きしめる紫苑




紫苑「可愛いね、君達は…////」ナデナデ




亜里沙「お、お兄ちゃん………/////」




絵里「わ、私は別に可愛くなんか……/////」カアッ




紫苑「…………可愛いよ」ボソッ




絵里「Σひゃ!?//////」ピクンッ



耳元で突然甘い声を囁かれる




紫苑「だって………僕がそう感じてるんだから……」ナデナデ




絵里「………ぁ………////////


ありがとぅ………/////////」カアアアッ




亜里沙「ハラショー!////

お姉ちゃん顔真っ赤になってるー!」ニコニコ




絵里「亜里沙っ!//////」アセッ




紫苑「ははは、ところで亜里沙ちゃん?」




亜里沙「なーに?」




紫苑「さっきの臨時講師の話だけど……

引き受ける代わりに、1つ条件を出してもいいかな?」



亜里沙「条件?」キョトン




絵里「紫苑………?」




紫苑「うん。


引き受ける代わりに………



その日、【μ's】も一緒に臨時講師として同行させてほしいんだ」





紫苑の発言に


亜里沙は喜びで目を見開き
絵里は驚きで目を剥いた




亜里沙「もちろんオーケーだよ!」パアアアッ




絵里「し、紫苑!?


一体どういうつもり………!?」



紫苑「…………ハロウィンライブ前日ともなれば、君達は何かしらの答えを見出しているはずだ。


それを自覚出来るかどうか……
ちょっとそこで見極めようと思ってね。


まあ、一種のテストみたいなものかな」




絵里は思った



紫苑はその臨時講師の場で


私達μ'sが高みへいけるのかどうかを判断するつもりなのだと




絵里「…………分かったわ。みんなに連絡しておく」




紫苑「ああ、よろしくね。



それじゃあ僕はそろそろお暇するよ」



亜里沙「オイトマ?」キョトン



紫苑「帰るって意味だよ亜里沙ちゃん」クスッ




亜里沙「おおー……」




紫苑「クスッ…………じゃあ、絵里」スッ



絵里「………えっ?Σっええ!?///////」ドキッ




紫苑は絵里の両頬に手を添えた



まるでファーストキスの時のように



絵里「まっ、待って紫苑っ………///////

亜里沙が………亜里沙が見てるから……っ!///////」ドキドキ





亜里沙「私の事は気にしないで………!!///////」ワクワク



キラキラした眼差しで二人を見上げる亜里沙




そうしている内に紫苑の顔はどんどん近づいてくる



絵里「……………あ…………あぁ………っ/////////」ドキドキドキドキ




紫苑「目を………閉じて……」




絵里「(っそんな声で………言わないでよ……っ///////)」キュッ



言われるがままに絵里は瞼を閉じる



悪態は付きつつも、内心ではやっぱりそうされたいという願望があった




そして紫苑の唇が寄せられ…………














チュ………ーー












絵里「…………っ///////


………っえ…………////////」




紫苑は絵里の額へと軽くキスをした




絵里「紫苑………///////」ドキドキ



紫苑「…………流石に亜里沙ちゃんの目の前ではね……///


こういうのが限界///」ニコッ




絵里「もっもう!!///////


驚かせないでよ………!!////////」カアアアッ




紫苑「ははは、ごめんごめん」




絵里「(……………く、口にでもよかったんだけどな………/////////)」



亜里沙「ハラショーっ!!


二人ともラブラブだね!」ニコニコ




絵里「亜里沙まで…………/////////」アセアセ




紫苑「クスッ…………それじゃあ僕はもう行くよ」




絵里「あ、うんっ。またね!/////」




亜里沙「お願い、聞いてくれてありがとう!お兄ちゃんっ!!」フリフリ




紫苑「こちらこそ。いい機会をありがとね。

じゃあまた………」ガチャッ、バタン





玄関の扉を閉めて、紫苑は帰っていった





亜里沙「よかったぁ…お願い聞いてくれて…」ホッ



絵里「亜里沙達の方も大変なのね」



亜里沙「うん。私と雪穂は中学校を卒業したらμ'sに入りたいから!

今から頑張ってるの!!」



絵里「そうなんだ。あんまり無理しないようにね」



亜里沙「うんっ!」





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