小説

□紫苑の秘密
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場の空気が凍り付いた



先生達にはもちろん、軽音部の五人にも衝撃を与えた


「信じて下さいとは言いません。しかし、僕がNGOに所属していた事は事実です」



静まり返った室内に紫苑の声が虚しく響く



すると





ガタガタガタッ!!!―…




「―!!」



先生達全員が立ち上がった


そして、続々とパソコン室の出口に向かっていく



「狽ン、皆さんどこへ!?」



さわ子が焦り呼び掛ける



教師の一人が振り返り、冷ややかな瞳で紫苑とさわ子を見返した




「そんな子供だましのような話信じられるものか。帰らせてもらうよ」



そう吐き捨てて、室内には紫苑とさわ子、そして軽音部の五人だけが残った




「…………」



紫苑は複雑そうな表情をして扉を見つめていた



そんな紫苑を見て





ガタンッ…―…





「わ……私は信じます!!」


椅子から立ち上がって叫んだのは澪だった



「……澪……」



「だって紫苑さんは……昨日必死になって私達を助けてくれた……////」



澪は何とか言葉を紡いで紫苑にたいしての気持ちを伝える



「………確かにな。あんな救出劇、他の人にはできないもんな!!」



「うんうん!!!私も信じるよーっ!!!」



澪に続いて律と唯も賛同する



「そうですね。私も同感です」



「私もです!!!」




そして軽音部の全員が意見を合わせてくれた



「みんな……」



紫苑は呆気に取られた表情をした



「………本当に…?」




「「「……?」」」




紫苑は俯き顔を陰らせて尋ねた



「本当に……信じてくれる…?」



「あ……当たり前です!!だって紫苑は私達の…!!……せ、先生だから…っ!!!/////」



即座に澪が紫苑に向かって言い返す



その言葉に紫苑は心を打たれたような衝撃を受けた



「――ッ!!!」



「それに私らの友達でもあるしな!!」



「そのとーりっ!!」



紫苑は目元に涙が貯まっていくのを感じていた



それが頬を伝わり、床に落ちた






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