小説

□大ピンチ
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「では、この作品『蟹工船』の作者を答えてもらおうか……じゃあ……真鍋!!」


国語教師が和を名指しして言った



和はすくっと立ち上がり



「小林多喜二です」



「よし、正解だ」




どこにでもありそうな授業風景を漂わせている中、澪はなぜか授業に集中出来ないでいた



「………はぁ」



ぼーっと教科書を見つめているが、文章は全く頭に入ってこなかった




するとその時





バンッ!!!――




「「「煤\!!?」」」




大きな音を立てて教室の扉が開かれた



そして黒い銃口が教室内に向けられる




「動くんじゃねぇええ!!動いた奴ぁぶっ殺すぞ!!!」




全身を黒い洋服で包んだ男が殺気を込めて叫んだ



「ひっ……!!」



「何これ……どっきり…!?」




「騒ぐんじゃねぇって、言ってんだろッ!!!!」






―――ドォォ…ン―――






「「「煤\ッ!!!」」」



耳をつんざくような轟音に生徒達は思わず身を竦めた



耳を塞ぐ者や自身を抱きしめて震える者など、銃口から上がる硝煙に恐怖した



先生も生徒同様、腰を抜かして身をがくがくと震わせていた



「よぉし、それでいいんだよ」




男は懐からロープを取り出して先生の手足をきつく縛り付けた




「これでよし。逃げようだなんて考えんじゃねぇぞ、ガキ共!!!」




澪も身を竦め、今にも泣き出しそうな表情をしていた



「(恐い……恐い……!!紫苑さん……)」




同時刻



澪のいる一階以外の所でも黒服の男達が押し寄せ、同じように蹂躙していた




一階:梓のクラス



「(な、なんでこんな事に……!!)」




二階:唯、律、ムギのクラス



「(こんなドラマみたいな事、ホントにあるんだーっ!!)」



「(おいおい、マジかよ……どーすんだ、どーなるんだよこれ……!!!)」



「(目的は身代金かしら…)」




各々異なった考えを張り巡らしながらも、共通に感じる事




それは恐怖




誰かに助けを求める心は全員が一致していた




その時





『もう状況は理解してると思うが、お前達は人質だ。警察が金を俺達に渡すまでこのままでいてもらう。じっとしていれば危害は加えない……死んでも構わない奴だけ逃げ出すがいい』





集団のリーダーらしき男から放送が入り、脅しの言葉を投げ掛けられた




校内の恐怖が増していく中



外には異変が起きていた





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