小説

□新たな関係
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「……すぅ……すぅ…」

「……よく寝てるな…」

ユーリはベッドの傍に腰掛け、ジュディスの寝顔を見つめていた

「魔導器のこと、バウルのこと、そして……俺達のこと……。山程考える事があったんだな……」

ユーリは一人呟く

「ったく、少しは自分のことも気にかけろって…」

ユーリは、そっとジュディスの頬に手を添えた

「………頼れよな」

優しく頬を撫で、起こさないように囁く

だが

「……ん……うぅ……」

ジュディスがうっすらと目を開く

ユーリはほんの少し罪悪感を感じるが、ジュディスのことを優先した

「ジュディ……?」

「んぅ……?」

ジュディスの目がゆっくりとユーリの姿を捉える

「……ユーリ……」

「悪い……起こしちまったか……」

申し訳なさそうにユーリが囁く

「……いいえ、気にしないで……」

「…………そうか…」

ジュディスは真っすぐにユーリの目を見つめている

ユーリも目を反らさずにジュディスのことを見つめ返していた

「……体はどうだ…?」

「平気よ……少し疲れが溜まっていただけだから…」

ジュディスは、そっと自分の頬に添えられていたユーリの手に自分の手を重ねた

「……ジュディ…?」

ジュディスは目を閉じて、ユーリの手の温もりを感じているようだった

「……本当は……少し、心細かったのかも知れないわ……」

少し、淋しそうな声色で言葉を紡ぎ出した

「お父さんが死んでから……私はずっとバウルと二人切りで生きて来た……そしてそれは、これからもそうだと思っていたわ……」

「…………」

ユーリは、じっとジュディスの言葉に耳を傾けている

「けれど……あなたたちと出会ってから……少しずつ……その思いは薄れていった……」

ジュディスは少しだけ強くユーリの手を握った

「だから……この間みたいに別れの時が来ても……心を平静に保てなかった……」

「……ジュディ……」

「あなたたちが私を追ってテムザ山にやって来た時……私の心には驚きと疑問があった……。義に反して……あなたたちを裏切った私をどうして追って来てくれたのか、という疑問が…」

ジュディスは不安げに、声の音量を小さくしていく

「けれど、全部打ち明けた時……心にあった重荷が取れた気がしたわ……その後も、バウルを守るために一緒に戦ってくれたあなたたちを見て……正直、嬉しかったわ…」

ジュディスはゆっくりと身を起こし、両手でユーリの手を握り、再びユーリを見つめた

「だから……感謝してるわ……お礼してもしきれないくらいに……私を変えてくれたあなたたちに……ね…」

そしてジュディスはユーリに微笑みかけた

「……そうか…」

「あなたたちと……貴方と出会えたから…私はここまで変われた……ありがとう……ユーリ……」

そう言い切ると、ジュディスはふらつき再び倒れてしまいそうになったが

「………っ……え……?」

ユーリがジュディスを強く引き寄せ、抱きしめていた
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