小説

□澪の恋
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ジャジャアァ……ァン

一通り曲を演奏し終え、4人が同時に息をついた

「お〜し、休憩にしようぜ〜…」

「さぁんせぇ〜…」

「ったく、だらし無いぞ」

律と唯の二人はソファに座り込んでだらけた

そこに

ガチャン…

「「「??」」」

物静かに扉を開いて、一人の青年が音楽室に入って来た。そして、部屋の外を覗きながら

「………なんとか振り切ったかな……」

そのまま安心したように、扉に背中を預けて座り込んだ。そして、青年と四人の目が合い

「し……失礼します…

「どっ……どうぞ…

律がなんとか反応し答えた青年は帽子を目深にかぶり、口元しか見ることができない

「這狽チて!!誰だよッッ!!!」

律がビシッと青年を指差して尋ねた

「あっ……ごめんね。勝手に入っておいて失礼だったな……」

青年は立ち上がり、そこで初めて帽子を脱いだ

「…………うおぉ……」

「僕は紫苑。山中紫苑だよ」

にこりと微笑み、名前を告げた

「……ッ」

澪は、その笑顔を見てなぜか胸が高鳴るのを感じた

「……かっけ〜……」

「イケメェ〜ン…!」

律と唯が感嘆の声を漏らした

「素敵な人ね、澪ちゃん」
「狽ヲっ!?あ……ぅん……//」

見とれていた澪は若干対応が遅れ、変な声をあげてしまった

紫苑と名乗った青年は、部屋を見渡し

「……あれ、もしかしてここ……軽音部……?」

「そのとーりっ!!ここが我が軽音部さっ!!」

律が先程同様、胸を張って言った

「じゃあ……手間が省け「みんな頑張ってる〜〜?」

軽音部顧問山中さわ子が、紫苑の言葉を遮るように入って来た

「「あっ……」」

紫苑とさわ子が、顔を見合わせ同時に声をあげた

「さわちゃん先生」

「あっ……そういえばあの人の名前って……」

するとさわ子が

「探してたのよ紫苑〜。校門前にいないから」

「あなたが時間になっても来ないからでしょ」

さわ子と紫苑が親しげに話しているのを見て

「あれ?二人は知り合いなの?」

律がさわ子に尋ねた

「知り合いもなにも、彼は私のいとこよ」

「「「狽ヲえっ!?」」」

唯、律、澪の三人が驚く中紬は

「やっぱり!そうじゃないかと思ったっ!」

紬は、パンと手を合わせて納得した

「ど……どういうことムギちゃん……!?」

唯がたどたどしく聞いた

「だって、お二人とも名字が同じじゃない」

「ああ!!なるほどぉ…」

「それよりさわちゃん……この人紹介してよ」

「ん、そうね。じゃあ…」

さわ子は軽く咳ばらいをして

「この子は山中紫苑。年齢は………何歳だっけ…?」

「18だよ。それと、名前はさっき紹介したから」

「あらそう。じゃあ簡単に呼んだ目的を説明するわね」

「あぁ」

「正直、私一人で吹奏楽部と軽音部を両立させるのは無理があるのよ〜。そこで紫苑君を呼んだの!」

「買}ジでェ!?」

律が嬉しそうに驚いた

「マジよ。紫苑君はドラムもベースもピアノもギターもできるから、みっちり教えてもらいなさい!!」

そう言うとさわ子は、音楽室から出て、顔だけ覗き込ませ

「あっでも私もたまにはおやつ食べに来るからね♪」

そして、今度こそ音楽室から離れて行った

「…………」

「…………」

室内に沈黙が流れる

「あっ!あの!!」

澪が顔を真っ赤にしながら紫苑の前に出て

「よっ……よろしくお願いしますっ!!///」

「あっ……う、うん……よろしくね…」

頭を勢いよく下げた澪に対し、紫苑もペコリと礼をした

「あの極度の恥ずかしがり屋の澪が……」

「澪ちゃん積極的〜〜」

「よろしくお願いしますね」

人それぞれの反応をし、紫苑に挨拶をした

「こちらこそ、よろしく」
整った顔立ち、透き通るような声、柔らかい物腰と美少年と呼ぶに相応しいパーツを兼ね備えた紫苑とともに半共同生活を行うことになった軽音部であった







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