小説2

□第7話 初デート
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来る日曜日の朝




絵里「………………っ」ゴクリ




絵里にとっては決戦とも言える日がやって来た




時刻は9時ちょっと前



身支度を整え、何度も鏡の前でチェックをする




絵里「…………こ、これでいいかしら………?


でも、もう少し地味にした方がいいかな……」ウーン




そう、今日は待望の紫苑とのデートの日




待ち合わせ時間は午前10時



場所は秋葉原にある特大ショッピングモールの入口前にあるベンチ



緊張と楽しみで早くに目を覚ましてしまった絵里は


そわそわと落ち着かず、朝から準備に手間取っていた




絵里「………………よし!これでいこう…!」




やっと服装が決まり一先ず準備は完了させる



上は白地に青の線が入ったボーダー柄にグレーのジャケットを羽織り


下は涼しげにスカイブルーのホットパンツ姿に生脚を露出するという様相である




全身鏡で念入りに確認して頷く絵里




亜里沙「お姉ちゃん?準備できた?」ガチャ




絵里「亜里沙」




支度を終えた絵里の部屋に亜里沙が入ってきた




亜里沙「わああ……可愛いよ!うんっ!

すごく可愛いっ!!」




絵里「…ありがとう亜里沙……/////」カアッ




亜里沙「…………いよいよだね」




絵里「…………ええ」




亜里沙「帰ったらいっぱいお話聞かせてね!

楽しみに待ってるから!」




絵里「わ、わかったわよ。

それじゃあ、もう出るわね」




亜里沙「えっもう?まだ40分近くも早いよ?」




絵里は貴重品を確かめて玄関に向かう



絵里「先に行っておきたくて。

それに紫苑を待たせたくないもの」



いろんな意味で……



当然、普通の意味として紫苑を待たせるのが嫌というのもあるが



何より




絵里「(紫苑を長時間同じ所で待機させたら、絶対他の女の子が寄ってくるに決まってるもの……)」




というのが問題なのであった



絵里「じゃあ、行ってくるわね」




亜里沙「行ってらっしゃい!気をつけてね」




絵里は自宅をあとにして待ち合わせ場所へと向かった





********************




現在午前9時半



人の群れが増え始める時間帯



絵里は待ち合わせ場所のベンチに腰掛けた



流石にまだ紫苑の姿はない




絵里「あと30分か…………」




どうやって時間を潰そうか………



と、ぼんやり考えていた



そんな絵里に近づく影




DQN1「君君!きーみ!」




絵里「…………はい?」




二人組の男が絵里に話しかけてきた



一人は髪を茶に染め
もう一人は金髪で逆立てしている



DQN2「可愛いね、今一人?」




絵里「はあ…………」




馴れ馴れしく話し掛けてくる男達に
絵里は警戒心を最大限高める




DQN1「俺達と遊ばない?」




来た…………




と心内で溜息をつく



だがこの手の輩は下手に抵抗しても逆上させるだけなので


絵里はやんわりと断った




絵里「すみません。人と待ち合わせてるので無理です」



DQN2「絶対楽しくすっからさあー」ドカッ




絵里「Σっ……!?」ビクッ



男達は絵里の両サイド、挟むようにしてベンチに腰掛けてきた




途端、身体が縮こまってしまう絵里



DQN1「こんな可愛い格好して……

もしかしてデート?」ニタニタ



絵里「……………っ」



DQN2「どうせ俺らを見たらビビっちまうような軟弱者だろー?

そんな奴と居るより、俺達と一緒に遊ぼうよ」




絵里「っ!!」ガタッ




軟弱者


そんな奴



大切な人の事を何も知らない人間に


そんな風に貶されて、絵里は憤った



絵里「失礼します」スタスタ



勢い良くベンチから立ち上がり、足早にその場から離れようとするが




DQN2「っと、待てよ」ガッ



絵里「Σっあ……っ!」ヨロッ




腕を引かれて強引に歩みを止められた



ヒールの靴を履いているため、簡単にぐらつき


バランスを崩してしまう



DQN1「つーかまえたー」ガシッ




絵里「っ離して!!」バッ



肩を掴んできた男は振り払えたが


掴まれた腕は絵里の力では不可能だった




絵里の心と身体が恐怖に慄いていく




DQN2「気の強い子は好きだぜー?

ほらー、こっちにこいよ!」グイッ




絵里「っ!嫌っ!」ググ




必死に抵抗しても男の力には敵わない



ズルズルと引きづられ


次第に男達の方へと引っ張られていく絵里




周りを見ても、絵里のことを見て見ぬフリをする者ばかり




絵里「(紫苑…………っ!!)」キュッ




助けて……………っ
















ガシッ………!!






誰かが絵里の後ろから男の腕を掴んだ














紫苑「この手、離してもらえますか」




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