小説
□氷解
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氷の城に氷の戦士達
光の結社の中心人物斎王琢磨の洗脳により、明日香の心は凍てつき十代を潰そうと猛攻をかけてくる
「待ってろよ明日香!!俺が必ずお前の心の氷を溶かしてやる!!!」
だが十代は決して諦めない
寒さと攻撃に耐え、必死に明日香に訴えていた
その結果
「フレア・ネオスで青氷の白夜龍に攻撃!!!」
十代の熱い想いが明日香のモンスターを粉砕した
明日香のLPは0
清々しい表情で地に倒れ込む明日香
「明日香っ!!」
十代は明日香に駆け寄る
心配そうな顔で明日香を呼び起こそうとするが
「十代……あなたよくもやってくれたわね!!」
十代は明日香の光が戻った瞳を見て、押さえ込んでいた感情が一気に溢れ出した
そしてほんの少しだけ、目に涙を浮かべた
「この次は絶対負けな………煤\ぇ…っ…!!?/////」
十代は明日香の身体を抱きしめた
ぎゅうぅっ…と明日香の身体を自分の腕で閉じ込めるようにして包み込む
客席で万丈目が何やら叫んでいたが、全く耳に入らない
「じゅっ…十……代…?//////」
「馬鹿野郎……心配させやがって…っ…!!」
十代は声を絞り出すようにして悪態をついた
「十代……泣いているの…?」
十代は鼻をズズッと吸った
「…泣いてねぇよ…」
「……ふふふ…」
明日香は嬉しかった
あの十代が自分の事を思って涙を流してくれていることが
そしてなにより
自分の想い人の腕の中にいることが
「……っ!!」
だが明日香は気付いた
十代の身体の至る所に細かく真新しい傷がついている
光の結社の力を得た明日香と十代とのデュエルは熾烈を極めた
そして明日香は斎王から直に洗脳を受けた為に、デュエルの攻撃で相手に与えるダメージが強力になってしまった
つまりこの十代の傷は、いましがた明日香によって付けられた傷なのだ
「ごめん、なさい…十代……私、あなたに酷いこと…!!」
真実を知ってしまった明日香はいたたまれなくなって十代に謝っていた
それを聞いた十代は
「……許さねぇよ」
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