小説
□紫苑の秘密
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学校が占拠された事件の翌日
9時前
軽音部の五人は揃って学校に向かっていた
「紫苑さんの個人情報か……正直私達、紫苑さんの事あんまり知らないよな…」
律は頭の後ろで両手を組んでボソッと言った
「……うん。簡単な事は教えてくれたけど……今まで何をしていたのか言ってくれたことないし……」
澪は少し俯き気味に言う
「でもちょっと楽しみー。紫苑さんの話!!」
「そうですね。興味あります!!!」
「二人共、なんだかワクワクしてるわね」
唯と梓の会話にムギがなにやらキラキラした瞳で見つめていた
そして
「みんな!!」
校門前で待っていた紫苑が澪達に呼び掛けた
五人は走って紫苑の元へ行った
「ごめんね…わざわざ休日に呼び出して…」
紫苑が申し訳なさそうに五人に言う
「ううん!!私達も紫苑さんの事知りたいしねーっ」
「そうそう。なぁ、澪?」
「う……うん……////」
「ありがとう、みんな。それじゃあ行こうか」
そうして紫苑を合わせた六人は校内へ入っていった…
「お待たせしてすみません」
紫苑はある教室へ五人を案内した
「ここ…パソコン室か…」
室内には既にさわ子を始めとする先生達が集まっていた
澪達も席に着き、紫苑は全員を見回すことのできる所に立った
一気に紫苑へ視線が集中する
「………さてと、どこから話そうか……」
「………紫苑」
紫苑が悩んでいたところ、急にさわ子が声をあげた
「やっぱり、私から説明するわ」
立ち上がり、紫苑のとなりへ来る
「さわ子さん……」
「自分からは言いにくいでしょ?」
そこでさわ子はキーボードを操作しだし、大型のモニターに映像を投影した
「まずはこれを見て下さい」
映し出されたのは一枚の集合写真
二列に並んだ集団のその中心にいるあどけない表情をした少年
周囲の大人達と同じ位毅然とした物腰をしている
「この少年が紫苑です」
さわ子が少年を指差して言う
「こう言っちゃなんだけどさぁ、紫苑さん場違いじゃねぇ…?」
律が思った事をそのまま口に出して言った
「まぁ、今思えばそうだったかもね…」
「田井中さんの言う事もあながちハズレというわけではないんです…」
紫苑とさわ子は表情を陰らせる
「…?どういう事だ?」
席の1番前に座っていた校長先生が尋ねた
問い掛けにさわ子はほんの少し間を置き
そして、意を決したように口を開いた
「この写真はNGO、非政府組織のもの……そして紫苑はその中の紛争・暴動鎮圧部隊の部隊長だったんです」
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