小説

□紫苑の秘密
1ページ/9ページ



学校が占拠された事件の翌日



9時前




軽音部の五人は揃って学校に向かっていた




「紫苑さんの個人情報か……正直私達、紫苑さんの事あんまり知らないよな…」



律は頭の後ろで両手を組んでボソッと言った




「……うん。簡単な事は教えてくれたけど……今まで何をしていたのか言ってくれたことないし……」




澪は少し俯き気味に言う




「でもちょっと楽しみー。紫苑さんの話!!」



「そうですね。興味あります!!!」



「二人共、なんだかワクワクしてるわね」




唯と梓の会話にムギがなにやらキラキラした瞳で見つめていた




そして





「みんな!!」




校門前で待っていた紫苑が澪達に呼び掛けた



五人は走って紫苑の元へ行った




「ごめんね…わざわざ休日に呼び出して…」



紫苑が申し訳なさそうに五人に言う



「ううん!!私達も紫苑さんの事知りたいしねーっ」



「そうそう。なぁ、澪?」



「う……うん……////」




「ありがとう、みんな。それじゃあ行こうか」



そうして紫苑を合わせた六人は校内へ入っていった…













「お待たせしてすみません」



紫苑はある教室へ五人を案内した



「ここ…パソコン室か…」



室内には既にさわ子を始めとする先生達が集まっていた



澪達も席に着き、紫苑は全員を見回すことのできる所に立った




一気に紫苑へ視線が集中する




「………さてと、どこから話そうか……」



「………紫苑」



紫苑が悩んでいたところ、急にさわ子が声をあげた




「やっぱり、私から説明するわ」



立ち上がり、紫苑のとなりへ来る




「さわ子さん……」




「自分からは言いにくいでしょ?」



そこでさわ子はキーボードを操作しだし、大型のモニターに映像を投影した



「まずはこれを見て下さい」




映し出されたのは一枚の集合写真


二列に並んだ集団のその中心にいるあどけない表情をした少年



周囲の大人達と同じ位毅然とした物腰をしている




「この少年が紫苑です」



さわ子が少年を指差して言う



「こう言っちゃなんだけどさぁ、紫苑さん場違いじゃねぇ…?」



律が思った事をそのまま口に出して言った



「まぁ、今思えばそうだったかもね…」



「田井中さんの言う事もあながちハズレというわけではないんです…」



紫苑とさわ子は表情を陰らせる



「…?どういう事だ?」



席の1番前に座っていた校長先生が尋ねた



問い掛けにさわ子はほんの少し間を置き



そして、意を決したように口を開いた













「この写真はNGO、非政府組織のもの……そして紫苑はその中の紛争・暴動鎮圧部隊の部隊長だったんです」






次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ