小説

□大ピンチ
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梓が軽音部に入部してから二週間が過ぎた



四人とも打ち解けることができ、梓は軽音部に馴染み始めていた頃、その行事はやってきた








季節が初夏に入った頃のある朝




二年一組、澪と和の教室




「おーーい、席につけ。朝のHR始めるぞーっ!!」




担任の紫苑ではない男の教師が教室の扉を開きながら言った




「えっ……」




澪は入って来た人が紫苑ではないのを疑問に思った




そしてその気持ちはクラスメートも同じだったらしい


すぐに質問の声が飛ぶ




「先生ーっ、山中先生はーっ!?」



その質問を予想していたかのように男性教師は軽く溜め息をついた




「山中紫苑先生は所用でな、もう少ししたら来られる」




その返答に教室内はざわつき始めた




「はいはい静かに。今日の予定を言うからよく聞いとけよ!!」




その先生が言うには、今日は午前中は通常授業で午後から運動会の練習だそうだ



そして先生が予定を伝え終わり、教室から出ていくと、和が澪の近くに来た




「どうしたのかしら、山中先生………澪は何も聞いてないの?」




「う、うん…」



澪は紫苑がいない事を不安に思った



胸がざわざわするような、もやもやするような感じに襲われた




「(何だか、嫌な感じがする………紫苑さん……)」




澪は紫苑を想い、きつく目をつむった













澪達が授業を開始する頃



校門前では怪しげな集団がたむろしていた




「いくぞ、覚悟は決めたな?」



男達はマスクで顔半分を隠し、黒っぽい服装に身を包んでいる



「当然だ。さっさと行こうぜ!!」




「おし……始めるぞ!!!」




男達は校門の見張り用の二人を残して、素早い動きで桜ヶ丘高校の敷地内に侵入していった






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