小説

□答え
1ページ/4ページ


黒幕である沙倉楓に操られたナツルは白のけんぷファーと共に雫、紅音、水琴を捕らえてしまった


自我を支配されたナツルは雫達に刃を向ける



「さあナツルさん!!雫ちゃん達にトドメを刺しちゃってくださいっ!!!」



無垢な悪意を持った笑顔で楓が命令する


ナツルは言われた通り自分の能力である炎を具現化させ、それを大きくしていく


「おいナツル!!!目ェ覚ましやがれ!!!!」


「ナツルーーーっ!!!!」



紅音と水琴が必死にナツルに呼び掛ける



だが




「………………」




ナツルの目は虚ろなまま、顔は無表情を崩さない




「無駄よ!!ナツルさんの心は今や私だけのもの……あなた達がいくら叫ぼうとその声はナツルさんに届くことはないわ!!!!」




楓が狂喜の笑みで残酷な事実を告げた




「ナツル………」




雫は愛しい人の名を呟いた



だがナツルの表情は変わることはない













それでも心の内では信じている










―ナツルなら……きっと……―







「ナツルさん。雫ちゃん達を倒したら約束通り、ご褒美をあげますよ」



「(ご……褒美………これで……いいん…だ…)」




ナツルは楓の言葉に反応し、今にも炎を放とうとする




「(これで……狽チ!!!!)」


ナツルの視界の端に何かが写った











「(あ……れは…っ…!!)」


―…あの時の……―






それは雫に渡したキーホルダーだった




刹那





ナツルの頭の中をその時の記憶が駆け巡る




始めは敵情視察のカモフラージュだと思っていたデート





だが





自分が適当に選んでしまったプレゼントを嬉しそうに笑顔で受け取ってくれた雫






その時初めて













―俺は雫の事を……―













「ッ!!!!!」




ナツルは炎を消した



そして自分の愚かさと鈍さに激昂し歯を食いしばった




「!?どうしたんですかナツルさん!!!早くトドメを!!!」




異常に気付いた楓が急いでナツルに命令する



雫、紅音、水琴の三人もナツルの様子の変化に気付き呆然としていた












「………ご褒美なんていらない」





「「「「煤\―!!!!」」」」





楓を振り返り見たナツルの瞳にはしっかりとした『心』が写っていた




「どうして……!?」



楓が愕然したように声を発した



そしてナツルは楓を真っすぐに見据えたまま言葉を口にする













「俺は沙倉さんが好きだ」







次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ