小説

□大ピンチ
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学校が犯人グループに占拠されてから約10分後



桜ヶ丘高校に正式に教師として認められた紫苑が登校してきた




「………ん?」




だが、校門前にいかにも怪しげな服装をした二人が陣取っていた



紫苑は構わず門を通過しようとしたが




「狽ィい!!!ここは今立入禁止だ!!」



「立入禁止って…僕はこの学校の教師なんですけど」



「ハッ、お前みたいなガキが教師なわけねぇだろ!!!とっとと立ち去れ!!!」



男二人は強い口調で紫苑に怒鳴り付けてくる



紫苑は校舎を見上げ、どこもおかしなところが見当たらないと思うと、二人に向き直り



「あなたたち誰ですか?見た限り学校に異常はないみたいですけど…」



紫苑は少し目を鋭くして尋ねた



「しつこいガキだな…!!おい、一人くらいやっちまっても構わねぇよな!?」



「―!!」



「しょうがねぇ奴だ……殺るならさっさと殺るぞ」




男達は懐からそれぞれナイフを取り出した



「やめた方がいい。くだらない事で人生を棒に振ってはいけない」



紫苑は二人に全く動じず、そう言い切った



その瞳には強い光が宿り、男達を正面からしっかりと見据えていた




「ガキがあッ!!!わかったような口聞いてんじゃねぇよ!!!!」




二人は完全に激昂し、紫苑に向かって襲い掛かってきた



一人は紫苑の心臓目掛けてナイフを突き出してきた




だが




パシィ…!!――




「「煤\―ッ!!!?」」




「…………」




紫苑はそれを左手の人差し指と中指でぴたりと挟み込んで制止した




「ッく!!なんだこりゃあ…ッ…押しても引いても動かねぇっ!!!」



「乱暴な人だ…」




紫苑は右手で男の手首に手刀をしてナイフを落とすと、即座に男の腹にパンチを喰らわせて気絶させた




その動作を紫苑は瞬く間にやってのけたのだ




「……う、うおおおっ!!!」



それを見て呆然としていたもう一方の男は乱心したようにナイフを振り回し始めた



「やめた方がいいと……」



ドス……!!!――




先程の男と同様、彼は気を失って地に伏した




「まぁ、乱暴なのは僕も同じかな…」



紫苑は男達からナイフを没収し、二人の体を両肩に担ぎあげた




「どうやら少し、厄介な事になっているみたいだな…」




と紫苑は呟き、学校の裏口にあたる職員玄関に向かった





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