小説
□新入部員
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軽音部の四人は部室の音楽室に戻ってきて、ライブの講評をしていた
「今日の感じなら部員一人くらいは入るだろ!!」
律が嬉々とした表情で言った
「そういうわりにはまだ一人も来てないじゃないか…」
律の言葉の揚げ足を澪がしっかりと指摘する
澪の言葉を最後に四人は同時に溜め息をついた
そこに
「四人揃って溜め息なんてついてたら、来るものも来ないよ?」
四人が一斉に扉の方を向くとそこには
「博苑さん!!!」
澪が叫ぶ
紫苑はこっちに向かって歩いて来る
「紫苑さんのライブ格好良かったよーーっ!!!」
唯が椅子から立ち上がって紫苑に言う
「クス……それを言うなら君達の方こそ。大成功だったね」
その紫苑と唯の話の影で律が
「おい澪!!!お前も紫苑さんになんか言ってこいって!!!」
「狽ヲえっ!?///そんなの恥ずかしいよぉ!!!////」
「いいから!!!テキトーな事でいいんだよ!!!」
「〜〜〜〜〜わ…わかった…//////」
澪はたどたどしく歩いて紫苑に向かい
そして
「あ……あの……し、紫苑さん…///////」
意を決して澪が紫苑に話し掛ける
「ん?」
「さ……さっきのライブ……す、すごく……素敵、でした……///////」
紫苑は一瞬きょとんとしたが、すぐに笑顔になり
「クス……ありがとう。君も素敵だったよ、澪」
紫苑はいつものように澪の頭に手を添える
「……ぁぅ……//////」
澪は例によって、恥ずかしさで顔を伏せてしまった
「ところで、新入部員の調子は?」
律が半ば諦め気味に首を横に振る
「全然。一人も来やしないよ」
「そうか……でも、まぁ何十人も来るよりはいいと思うよ」
「?どーして?」
唯がわからないといったように首を傾げる
「僕達は軽音部。合唱部や吹奏楽部じゃないんだから、あまり数が多過ぎるとかえって音のまとまりがつかなくなるだろう?」
四人が同時に感嘆の声を漏らした
「だから、少人数の方が良いのは良いんだよ」
「なるほど。たしかに考えてみれば何十人も入部してきたら困るな……」
「えぇ〜〜?でも楽しそうだよー?」
「多過ぎてムギのお菓子食えなくなるぞ」
「狽サれは困るねっ!!」
まるでコントのようなやり取りを紫苑と澪は端から見ていた