小説
□ストライク・ザ・チアリーディング
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第二体育館は全面バスケットコートにされており、その外野にはすでに大勢の観客
もとい野次馬が集まっていた
そして、このコートの中で一際素早い動きでプレイしているのは
暁古城である
矢瀬「ホイ古城っ!頼むわ」ビッ
古城「ったく」パシッ
矢瀬からのパスを受け取りドリブルで相手陣内に切り込んでいく古城
1人2人とあっさり抜き去りレイアップに飛ぶ
古城「よっと」バスッ
軽々とゴールを決め得点が入る
現在点差は18-16
古城のチームが追う形である
残り時間も3分弱
古城「つか10点差つけられてるなんて聞いてなかったぞ…!!時間も短いし…」
矢瀬「いやぁそれでも流石じゃん古城。これなら逆転勝ちできそうじゃねーの」
矢瀬がそんな軽口を叩いた瞬間
ばばっと古城をマークする相手選手が3人
走ることすら難しくなる古城
古城「Σトリプルチームかよ!」
矢瀬「げえ……けどまあ、そう来るよな。確実に古城潰して逃げ切り、かつシュートの入る確率の低い俺達に打たせてカウンターって感じか」
古城「Σわかってんならやる気だせよ!」
矢瀬「いやでもお前考えてみろよ。あいつら皆元バスケ部だぜ?俺みたいなペーペーが敵うわけねーだろ?」
半分諦めた発言をする矢瀬に古城はいつかの光景を思い出した
自分以外まるでやる気のないチーム
頼り切られて、そいつが倒れると一気に瓦解したチーム
そしてその原因は自分の自己陶酔のせいで
古城「(けど、あの時とはもう俺は……)」
だが現実問題
古城は執拗なトリプルチームのディフェンスの前に動くことを許されない
万事休す
雪菜「………先輩っ!!」
古城「―!?」
聞き慣れた声が背後から上がった
切羽詰まったかのような、それでいて凛とした声音
喧騒を切り裂いて、透き通るように古城に声が届く
古城「姫柊…!?お前いつの間に……」
見ると雪菜はいつぞやの小っ恥ずかしいチアコスチュームを着ていて声を張り上げていた
雪菜「頑張ってください暁先輩っ!!応援しますからっ………負けないでください!!」
いつも冷静な雪菜が滅多に上げない大声で自分を激励してくれている
その事実が古城の背中を押した
古城「つーかその服であんまり動き回るなよ……////色々見えちまうだろうが………//////」
ポリポリと頬を掻きながら精一杯の嬉しげな悪態をつく
古城「(わかった。………勝つよ)」
古城は雪菜を振り返る
古城「姫柊ーーッ!!!」
雪菜「っ!?」
古城の怒声にも近い声で会場が静まり返る
あ、やべ
と一瞬考えた古城だが
まあいいかと覚悟も決める
古城「ちゃんと見とけよ!!お前の知らない俺を見せてやるから!!」
雪菜がはっとする
その直後には満面の笑みを浮かべて古城に返答する
雪菜「はいっ!!ちゃんと見てますからっ!!」
その言葉に古城は微笑み目の前の相手へと向き直る
そんな古城を雪菜は優しく見つめていた
凪沙「雪菜ちゃんってば大胆だね〜…//////」ヒャー
雪菜「Σえっ!!?」
夏音「雪菜ちゃんはとても大胆でした……//////」
雪菜「Σええっ!!?/////いやあの……い、今のは…………////////」カァァ
そのまま照れて俯いてしまう雪菜
凪沙「ほーら!俯いてないで、ちゃんと見てなきゃだよっ!古城君を!」
雪菜「っ、……そ、そうですね………/////」
顔を上げ必死にプレイする古城に向き直る雪菜
雪菜「先輩………」
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