小説

□雪ノ下雪乃の決意
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ハイ到着〜
1ページ跨いだだけで移動完了なんて凄すぎィ!

どこでもドアも真っ青だネっ!!


時間は5時2分

どこかの番組で、集合時間の2、3分後に到着するのがベストだって話を聞いた

セオリー通りの完璧な時間調整
流石俺!



さて、ちょっとハイテクなインターホン(名称は知らない)を押すか


雪ノ下と表示された番号をタッチすると
高音のピンポンが鳴った



雪ノ下『はい』


八幡「あー、俺俺、開けてくれねーかな」


雪ノ下『……相手を見誤ったわね。私を狙った詐欺だなんて身の程を知りなさい、このドクズ』


八幡「誰がオレオレ詐欺だよ。俺だよ、比企谷」


雪ノ下『ああ、比企谷くんだったのね。計器越しだと余計に声が腐って聞こえたから、どこの犯罪者かと思ったわ』


八幡「声が腐るってなんだ。俺の声帯は正常だっての」


こいつ絶対分かっててやってるだろ!
また確信犯かっ!


雪ノ下『部屋はわかるわよね』


八幡「ああ」


答えると入り口のドアが開いた
雪ノ下が招き入れてくれた合図だ



エレベーターで階をあがり、雪ノ下の部屋へと赴く


うおっ、外たっけえ…!!
前に来たときは、ほとんど夜だったからわかんなかったけど
こんな高層に住んでんのかよ…
流石、セレセブ雪ノ下さん


そして部屋に着き、再びインターホンを押す

扉が開き、見知った顔が出迎えた



雪ノ下「こんばんは、どうぞ入って」


八幡「お、おう……おじゃまします……」


うわーなんかこの境界線、ポイントオブノーリターンな気がする

いいのか!?いいのか俺っ!?


まぁ、普通に入るんだけど


雪ノ下「適当に腰掛けて頂戴。今用意するから」


八幡「ああ…」


雪ノ下はエプロンを着て、早速ダイニングキッチンに入った


俺もソファに落ち着く

気持ち的には落ち着かないのだが…


ふとキッチンを見たら、それなりに大量の食材が鎮座している

おいおいまさかそれ全部使う気か
八幡の胃袋を決壊させる気ですかね

肉なり魚なり野菜なり
多種類の食材を手際よく調理していく雪ノ下

だが、如何せんあの量
とても短時間で捌ききれるものじゃなくないか?


八幡「なぁ、俺も何か手伝ったほうがいいか」


雪ノ下「あなたは一応客人なのだから、そこで大人しく待っていなさい。素人に包丁を握らせるとろくなことにならないし」


まるで経験でもあるような口振りですねわかります(笑)

一体素人とは何ヶ浜のことなんだ……


八幡「おいおい俺を舐めるなよ。一時期は小町のシェフとして名を馳せたこともあるんだぞ。料理スキルは高いほうだぜ。………それにその量だと大変だろ」



雪ノ下「馳せる範囲が狭すぎでしょう……でも、そうね………ではせっかくだから手伝ってもらおうかしらね」


八幡「おう」


俺は雪ノ下と並んでキッチンに立つ


雪ノ下「まずは豚肉を一口大に刻んで。それから大根をいちょう切りに。キャベツは千切りをお願いね」


八幡「分かった」


手近な包丁を取り、作業に取り掛かる

うむ、感触として腕はなまっていない様だな



雪ノ下「…………へぇ、合宿の時にも思ったけれど……人並み以上には出来るのね」


俺の手際をチラチラ見てやがったなコイツ…

ふふん、とドヤ顔でもかましてやろうかと思ったが
返しに毒が来るので控えめにしておこう…


八幡「まぁな。言わなかったか、小町のメシはアイツが小学生になるまで俺が作ってたんだぜ?それなりにレパートリーもある」トントン


雪ノ下「………あくまでも高校二年生男子としては、だけれど。私の足元止まりね」


八幡「男にとっちゃそれで十分だからいいんだよ」



しかし、こうして女子と2人揃ってキッチンに立つと

何か新婚さんっぽいな〜……なんて


って何思っちゃってんの俺!?


くそっ!とりあえず与えられた仕事をちゃちゃっと済ませちまおう!


俺がペースをあげて作業を続けると
隣の雪ノ下から視線を感じた

ぼっちは視野が広いので、目を向けなくても妙なプレッシャーから視線を感じ取ることが出来る

俺の108ある特技の1つである



八幡「………なんだよ?」


雪ノ下「い…いえ……なんでも」サッ


素早く顔を戻し調理を進める雪ノ下


っと、マズイ


八幡「雪ノ下、鍋、吹きかけてるぞ」


雪ノ下「えっ?あっ!」


慌てて蓋に手をかけようとする

いや、お前素手は…


雪ノ下「Σっ!っぅ……!」


ほーら見ろ
沸騰した水の蒸気ってのは侮れないんだぞ
しかも火傷ってジワジワと痛いから結構後引くんだよな


八幡「とりあえず……」


手近な布巾をキンキンの水で絞り雪ノ下の人差し指に巻いていく


八幡「簡単な応急処置はこれでいいだろ。幸い軽い火傷みたいだし、明日には痛み引いてるはずだ」ギュッ


雪ノ下「あ………ありがとう…////」


八幡「どうしたよ。思慮深いお前にしちゃらしくないミスだな」トントン


雪ノ下「…………考え事をしていただけよ。もう大丈夫」


八幡「………」


調理中に考え事、ねえ


指切り落としても知らんぞ
ってアブねえ!!もう切り終わるの気づかなかった!
危うくスパンとエンガチョしちまうところだったわ


八幡「終わったぞ。全部切った」


雪ノ下「お疲れ様。後は私がやるから、あなたはそこで大人しくくつろいでて」


八幡「………そうはいかん」


雪ノ下「えっ?」


八幡「今のお前は何か危なっかしいからな。ほっといたら、また負う必要のない傷を負っちまいそうだ」


本来の雪ノ下なら、さっきのような凡ミスなどしないだろう
がしかし、今日の雪ノ下はどこか違う

浮ついているわけでも無さそうだが……
わからんが、何か危なっかしい


雪ノ下「………貴方、私を舐めているの」


八幡「………へっ!?」ビクッ



きっ、キタ━(゚∀゚)━!!
雪ノ下さん久しぶりの
野 獣 の 眼 光!!

………う、動けばやられる!


雪ノ下「あの程度の失態、すぐに持ち直してみせるわ。それに、貴方程度の腕の人間に心配されるなんて、私のプライドが許さない」


八幡「う、うす……」


退散退散
雪ノ下の必殺技まくしたてるを食らった今
俺のターンは当分来ない
つまり、何も出来ない


大人しくリビングに戻ろう


雪ノ下「け、けれど」


八幡「?」


雪ノ下「あ……ありがとう……/////
心配してくれて………//////」カアアアア


八幡「Σ…………っ///////////」



あっアカン
何この生き物可愛すぎるんだけど

割とマジでシュンとしてる猫のように見えなくもない!

………………何考えてんだ俺は



後の調理を雪ノ下に任せて、俺は再びソファに座る



大して待たない内に、様々な料理が運ばれてきた





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