【ただいま】

□梅雨の中
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梅雨ってイベントかと思ってた。
暇すぎてつまんねーな。


【ただいま】


ジトジトした日が続いている。
今は梅雨の真っ只中で、吊してあるてるてる坊主も意味を成していない。
ちみっ子達は読書のために本を漁ってしているが、それがリキッドのわけわからん本である事は敢えてスルーしておこう。
俺の飛行機の中から持ってきた本はちょっと難しいので俺が楽しむだけだ。


『リ〜キ〜ッドぉ〜』
「んだよ」
『暇だお』


ふざけながらそう言ってみる。
正直、読書は飽きた。


『チャンバラやろうぜ、チャンバラ!』
「ならトシさん達のところに行けよ」
『ええ〜…。雨降ってんじゃん』
「小雨じゃねえか」
『そうだけどさ。ん〜…よし、行ってくる』


腰に巻いている服の袖をギュッと縛り、立ち上がる。
それに気づいたロタローが振り向き、俺を見上げた。


「アレク、どこ行くの?」
『トシんとこ遊びに行ってくる』
「よかった、土方さんなら大丈夫だね」
「うむ、安心できるな!」


パプワとロタローは顔を合わせてそう言い、また本を漁り始めた。


『何が安心なんだ?』
「何でもないよ」
「こっちの話だぞ」


あれ?何この疎外感、ちょっと寂しい。
とは言葉に出さず、俺は心戦組の人達がいるあの家まで行く事にした。
雨は運よく小雨、傘はいらないくらいだ。










『チャンバラやろうぜッツツ!』
「いきなりかよッツ」


扉をバーンと思い切り開ける。
トシとソージがいた。
…近藤さんも、一応いる。


『チャ・ン・バ・ラ!やろうッ』
「やらねえよ」
『えー。ソージは?』
「斬っていいなら『やっぱやめときます』」


いや、あのさ、俺はちゃんと新聞紙を持って来たんだよ。
何で真剣?
そんなキャラだったっけ、君。


「冗談ですよ」


と、ハニーフェイスで言った。
眩しい笑顔でタオルを渡してくれる、そんな君は聖者か?
俺はそう思いながら、若干濡れた髪を拭く。


「元気だなお前」
『若いからな』
「そりゃてめぇ、俺がオッサンだって言いてえのか」
『誰もそんなこと言ってねえよッツ。どんな被害妄想だよッ』


自分で自分をオッサンて言ってどうする。
まだトシは若い…はず。
……ごめん、そういえば歳知らねぇ。


「どうしたんですか?」
『いや〜、家いても相手してくれないから来た』
「それなら隣に行きゃいいだろ」
『あ〜……。いや……今日はこっちに来たかったんだけど…だめだったかな』


というのも理由の一つだが。
この前の事もあって、ハーレムと顔を合わせづらいっつーか、抵抗があるっつーか……。
……あー、思い出すだけで顔が熱い。


「いえ全然。むしろ嬉しいです」
『またまた〜。つーかウマ子は?姿が見えねえけど』


近藤さんは……まあ、うん、ね?
ソージに足蹴にされてハァハァ言ってるっつー、カオス。


「さあな。多分リキッドんとこだろ」
『え?じゃあ行き違いになったのか…』
「水浴びするって言ってましたよ」
『う〜ん…そうかぁ』


女の子だし、やっぱり身嗜みとか気をつけてんだな。


『…………。なんか複雑だ』
「想像すんなよ」


いや、別に想像したわけじゃなくてだな…。
俺も一応は女…だけど、全然気をつけてねぇな、みたいな。
……想像したらもっと複雑になっちまった。


『くそぅ!俺の脳内から消えろ!!』
「すぐには消えねぇだろ」
『スペシャル☆ウマ子…ッ』
「どんな想像してんだよッツ!!」


トシはそう叫んだ後にくだらねぇ…と呟き、刀の手入れをしだした。
ソージを見遣ると、クスリと笑った。
何なんだ、お前。


「雨ばかりですね、最近」
『ん?ああ…そうだな』
「梅雨ですからね」
『俺のいたとこは、こんなに雨が降る時期はなかったなぁ…。降るのは雪ばっかりだし』
「北国でしたからね」
『ああ』


雪ばっかり。
そんな雪の上を、子供達は元気に走り回ってたなぁ…。


『日本にも梅雨ってあるのか?』
「ええ。ちょうどこの時期に」
『へぇ…。パプワ島は日本に似てるんだな』


日本か…行った事ねぇな。
帰ったら、日本に観光でもしようかな。


『そういえば、日本って何があるんだっけ。フジヤマとニンジャと…』
「え、何その典型的な日本への印象」
『ああ!サムライ!お前らだな』


チョンマゲしないのかな。
サムライなのに。


『…トシとか似合うよな、チョンマゲ』
「誰がするかッツ」




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