【ただいま】

□檻の中
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久しぶりの物と初めましてな人達。
この島に流れ着いたからこそ、こういうものに出会えたんだろう。



【ただいま】



森の中を散歩してると、意外な人と出会った。

金髪でタレ目の、お盆の時にイケニエにされていた人だ。
ガンマ団の、特戦部隊の1人で、リキッドの同僚(とリキッドは言ってた)。
正直、特戦部隊の奴らとは会いたくなかった。


「ん?……あ、確かお盆の時に……」


憶えられていては困る。
でも、憶えられているという最悪な状況。


『えっと…』


逃げようかと思ったけれど、真正面で出会っちゃったから、逃げようにも逃げられない。
だけど、とにかく逃げる事を先決したい。


『すみませんでした』
「ナニが?」






















結局逃げる事ができず、俺はこいつらの基地(?)に連れ込まれてしまった。


「…それは何だ。ロッド」
「どこで拾ってきやがったんだ。捨てとけ」
「………返して来い」


俺を見ての第一声がそれ。


『それって言うな!それに捨てとけとか返してこいって、俺は団地の子に拾われた捨て犬かッ』


初対面の人間に対して失礼な奴らだな。
怒るぞコノヤロー。


「いや〜、森ん中でバッタリ会っちゃって〜。飲み相手にちょうど良さそうだなァと思って連れて来たんすよ」
『それならリキッド君を相手にして下さい。絶対喜びます。泣いて叫ぶくらいに喜びます』


リキッドよ、俺の身の安全ために散ってくれ。(←最低)
と思ったのだが…。


「あいつは酒飲めねえんだよ」
「すぐ酔って吐くからあんま一緒に飲みたくないんだよね」


…弱ッ
え?飲めないのあいつ。
もっとがんばれよ、20歳。


「酒くらい飲めるっしょ?子供じゃなさそうだし」
『…まあ、ちょっとだけなら』




















いつの間にか、飲み会になっていた。
しかも、なぜかアレクは特戦部隊の4人と仲良くなってしまっていた。


『おいッ!そんなんじゃないッ!そんなんで女はオチないぞロッド!』



何がどうなってこんな話になったのかは分からないのだが…。



「じゃあ、アレクはどう口説くのさ?」
『そりゃお前、こう…見てろッ!今から実践してやっから!』
「俺でやるんじゃねえよ」


アレクはハーレムの手を掴む。
ハーレムは嫌そうにそれを振り払う。


『うるせッ!黙ってろいッツ』
「てめえがうっせェよ。つーか飲み過ぎだ。酔ってるだろ」


アレクは既にボトルを10本も空にしていた。
しかも全部度が高い。
いや、ハーレムらが持っている酒にアルコール度が低いものなどあるはずがない…。


「ったく、ガンマ団が警戒してたのがこんな奴だとはな…」
「一応は人間ですから…。でも、これはさすがにちょっと…」
『聞こえてるぞ、そこッツ!俺ァれっきとしたニンゲン様だ――…』
「?」


一瞬アレクの動きが止まり、そのあとすぐに倒れた。
アレクはハーレムの前に座ったままだったの所為か、ハーレムの肩に頭を預ける形になっていた。
ハーレムは自分の胸元に倒れてきたアレクを見る。
それは見事に寝息を立てている。


「…寝やがった」
「うわ、度胸あんね〜…」


ハーレムはそれをどけようと動いた。
その時、アレクの体に男にはない柔らかさがある事に気づく。


「(!…こいつ、女か?)」


確認。


「………。(女か…)」
「どうしたんすか?」
「こいつ――…」


ハーレムはアレクを見て、出しかけた言葉を飲み込んだ。


「………いや、何でもねぇ」
「?」
「隊長、どうぞ」


Gがハーレムに毛布を渡した。
アレクに毛布をかけて、また酒を飲み始めた。























『……ん…ぉおう!?……あれ?』


気がついたら、俺は毛布の中にいた。
酒飲んで、仕事の話とか上司の愚痴とか言って…それからの事が思い出せない。


「…ずいぶん起きるの早ぇんだな」


どうやら寝ていたらしい。


『まあな〜』


俺はすぐそこにある酒瓶を一本取って、ふたを開ける。


『酔いが醒めるのは早いのさー☆』
「今もずいぶんと酔っているようだが」
『これアルコール度キツイんだよ。俺は30度までしか飲んだ事ないんだぞー!』


瓶のラベルを見る。
おいおい……65って…
水か何かで割るもんだろ。

ふと外を見ると、いつの間にか真っ暗になっていた。


『あれ!?もう夜じゃん!』
「今更気づいたのか…」
『早く言ってくれよッ!パプワ達が俺の帰りを待っているんだからッ!つー事で帰るわ!』


千鳥足ながらも走って家に戻った。
その時にはもう夕飯は済んでいた。


『たっだいま〜』
「あ、帰ってきたよ」
「おかえりー」
「どこ行ってたんだよ?散歩にしちゃあ長かったな」
『ハーレムん家に行ってた。ついでに酒貰ったから、飲んできちゃったぜい』


俺はそのまま、そこに座る。


「酔ってんのか?」
『ちょーっとな』
「えー。アレクって、お酒飲むのー?」
『酒は好きだぞ〜』
「嫌だよぉ、アレクが飲んだくれのオヤジになるのは見たくないよ〜」
『だーいじょーぶ。俺はそんなオッサンになんねーから』


次の日の朝、俺は飲んだくれのおっさんのように2日酔いになった。
久しぶりすぎてホントに痛かった…。


「これだから大人は…」


その時のロタローのため息は、とても哀愁に満ちていた。




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