【ただいま】

□渦潮の中
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翌朝、俺は窓を叩く音で起きた。
目を開ければ、ロタローとパプワが目に入った。
窓を開けて、2人におはようと言ってみる。


「昨日はどうして泊まらなかったの?こんな所よりもマシだよ?」


こんな所て…。
確かにホコリっぽいけども。


『俺にとっちゃ飛行機ん中は落ち着くんだよ。それに、家政婦に話は聞いただろ?』
「うん。でも泊まるところないでしょ?」
『ん〜…。もう1回あの逆プリンと話してから決めるよ』


どうも、俺は子供に弱いらしい。
しかたなく飛行機を降りて、あの家に向かう。


「リキッド〜。連れてきたよ」


ロタローが生首の元へ行った。
逆プリンが地面に埋められていたのだ。


「じゃあ、僕らは遊んでくるから、ちゃんと話しておけ」


そう言って、ロタロー達は森の中へ行ってしまった。


「………」
『………』


沈黙が続く。
どちらかというと、あんまりこいつと喋りたくない。
だって、生首ですもの。


『…いやあ、何から話そうか…』
「まず俺を助けようとして」
『カメラねえかな』
「おい」
『冗談だよ』


そう言って、生首を地面から引き抜く。


「…昨日はさ、コタロー達から話は聞いたけどよ。名前しか知らない奴を泊めるわけにはいかないって言ってやったんだよ」
『ま、それが正解だな』


俺だったら家にも近づけさせないし。
つーか、まず連れても来ねェ。


「その軍服はガンマ団のじゃねえけど、他のところでコタローの事を狙ってる奴がいるかもしれないと思ったからさ…。内緒にしてんのも怪しいと思ったし…」
『そりゃあ、敵だったらって事を予想して、だ』


そこでまた会話が止まる。


「昨日は悪かったな」
『こっちこそ悪かったよ。…えっと……名前は?』


名前を言おうかと思ったら、こいつの名前を知らなかった。
ロタローが呼んでいたのは聞いてたけど全く覚えてない…。


「リキッドだ」
『リキッドね。俺はアレク・ミチェルディード。よろしく』
「よろしくな」


何とか打ち解け、その場で俺らはいろんな話をした。


『そう言えば、コタローって言ってたけど、ロタローともう一人いんのか?』
「いや、コタローはあいつの本当の名前だ」


コタローはガンマ団総帥の一族の力を持った子供なのらしい。
4年前にその力を暴走させてしまったのだそうだ。

今は記憶喪失の状態だから、暴走する心配はないみたいなのだが、記憶を戻されるとまた暴走してしまうだろうから、記憶が戻らないようにしているらしかった。


『………大変なんだな』


俺は煤だらけの顔を上着で拭って、立ち上がる。


『さてと…俺はもう行くよ』
「え、どこにだよ?」
『飛行機の修理しに。まだ翼しか直せてねえんだ』
「手伝おうか?」
『あー…じゃあ、手伝ってもらおうかな』


浜辺に歩いて行く。
そこには、無惨な姿になった飛行機があった。


『どーゆー事だよ…。これ…』


ショックのあまり、地面にへたり込む。

主翼は地面に落ちていて、尾翼は無くなっていた。
車輪の片方がはずれていて、機体は斜めに傾いている。
機体には引っ掻いたあとのような傷あと。


「あー…。ナマモノ達のせいだな、こりゃ」
『……………ぶっ飛ばす』
「それだけはよせ!よしてくれ!」
『俺の飛行機ーーッツ!!!』
「落ち着けェ!!!」






















『俺の飛行機が……』
「まだ言ってんのかよ…。パプワ呼んでくっから、ちょっと待ってろ」
『無理だよー。子供には直せねーよー』


それを聞かずに、リキッドは森の中へ行ってしまった。
俺は仕方なく車輪の部分をつけ直す。


「手伝いに来たぞー」
「本当だ。メチャクチャだねー」


パプワ達がリキッドと一緒に来た。
俺は作業をやめて3人を見る。


『手伝えるところは手伝ってくれ』
「うむ。まかせろ!」


数分後…いや、5分も経ってないだろう。
飛行機はすっかり直ってしまった。
エンジンも動くようになっている。


「さすがパプワくん!」
「朝飯前だぞ!」


エンジンを動かしてみれば、前よりもいい音が出る。
補助翼も動く…レーダーも映るし……完全に直っうとな、パプワ』


エンジンを止めて、飛行機から降りる。


「ん…もう昼か。昼飯の時間だな。アレクも来いよ」


パプワたちは先に家へ行った。
リキッドは満面の笑みで、俺に手を差し伸べている。


『……そうだな』


そう言って、俺は家にお邪魔することになった。



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