【ただいま】

□プロローグ
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ただ、小せえ国を潰せと言われただけだった。
暇つぶしには持って来いだったが…あまりにもつまらなそうな仕事だった。



【ただいま】※ハーレム視点



いつも通り、眼魔砲を撃った。
そこはただの残骸となり、生存者は限りなく0に近いはずだった。
だから、すぐに帰れる。
…はずだった。

すぐそこにいた男が、拳銃で俺を撃った。
俺はそいつに眼魔砲を撃とうとしたが、その前に男は倒れる。
最期の力で撃ちやがった。
一発だけ体の中に残ったせいか、妙に痛む。
俺はそこで倒れた。

それから間もなく、ジャリッ…と音がした。
誰かが来た。

ガンマ団の奴なら嬉しいと思いながら目を開ける。

別に期待していたわけではないが、いざこうなるとガッカリする。
そこにいたのは、白い軍服を着た少年兵だった。
殺気を帯びた…いや、狂気に満ちてるっつった方が当てはまる。
歳はシンタローとかよりも低いだろう。
そんなガキが俺を見降ろしている。


「…殺せ」


俺はそいつに言った。
すると、その顔から殺気が消えた。


『何だよ、殺せって。ここに死んでるみんなは…もっと生きていたかったのに…お前に殺されたんだぞ…。なのに何で、お前は死にたい時に、殺せって言えるんだよ』


頬に水が落ちた。
深い紫色の目から大粒の涙がボタボタと俺の顔に降ってくる。
…何で泣いてんだよ?


「死にてェんじゃなくて…、助からねぇんだよ」


体内に残った銃弾は急所とまではいかないが、このままだと死ぬ。
俺は目を開ける事さえも疲れてきたから、目を瞑る。


『ふざけるなよッ、生きようって思わないのか!?殺してきた命を背負う覚悟もないのかよッ!!おいッツ!!』


ガキの声が頭の中で響いた。
その声も、すぐに消えた。






















目が覚めると、そこにはもう誰もいなかった。
撃たれた傷口に当てられた布と、血まみれの銃弾。

…助けられたのか…?
敵のはずなのに……。

ふと何かを握っている事に気がついた。
それを見てみると、白い布。

あのガキの軍服か…?
何でこんなもの…無意識に握っていたのか?
そう思いながら体を起こすと、飛空艦がやってきた。
ガンマ団のものだ。
飛空艦に乗って、俺は本部に戻った。

窓の外を見ると、1人だけ動いているのが見えた。
あのガキが、瓦礫をどかしている。


「どうかしましたか?ハーレム様」
「…何でもねェよ」


本部に着いて、医務室に行った。
高松が言うには、適切な処置とは言い難いのらしいが…内臓に損傷はないらしい。


「痛くはないんですか?」
「気持ち悪ぃしクラクラする」
「そうですか。…それにしても、放っておけば死んだでしょうに、何で助けたんでしょうか。不思議な子供ですねぇ」
「………あぁ、そうだな」


たしかに不思議だ。
殺せと言った途端に泣きだした。
俺を殺しに来たはずなのに、生かしやがった。


――生きようって思わないのか!?殺してきた命を背負う覚悟もないのかよッ!!


あれは、あんな小さな子供が言うような言葉じゃない。

命を背負う覚悟…か。
そんな事を考えた事もなかった。

軍服の切れ端を見ると、深い紫色の目を思い出す。
あのガキをそばに置きたい…。
ふとそう思った。
絶対手に入れてやる。
布を握りしめて、あのガキを絶対に見つけてやると決めた。




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