【青の鳳凰】

□朝日と狂気の舞曲
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「何だこのデカさはァ〜〜〜!!?」
「どっかの大魔王か何かか!?こんな巨人見た事ねェ!!!」

『まさか…!!』
「これがゾンビ!?」
「これが………」
「ルフィ!??」
「ダメだ、もう終わりだァ!!おれ達を殺しに来たんだァ〜〜〜!!!」


オーズが5人の方へ手を伸ばし、彼らの後ろにある瓦礫を取った。
ウソップが怯えて瓦礫の影に隠れるが、それは杞憂に終わった。
瓦礫を頭に被ったのだ。


「おお、いいなコレ!よーし!!気分出てきたぞ!!おれは海賊王に腐れなる!!いやー建て物壊れてびびった」


5人に気づいていなかった様だ。
オーズはそのまま、離れて行く。


「……ホントにルフィみてェな事言ってやがった。あの図体でルフィの戦闘力は確かにヤベェ…」
『今はまだ危害なさそうだけど、牙を剥いてきたらどうなるか……』
「もう…いいじゃねェか、お前らの影なんて」
「「よくねェよ!!!」」
「百歩譲ってそれがよくてもどの道ナミさんを救出するんだ!!シャキッとしろ!!」


ネガティブ思考に走ったウソップに、ゾロとサンジが喝を入れる。
ノキは落ちてしまった橋を見て、顔を顰めた。
翼さえあれば4人を運ぶ事もたやすかった。


「どうやらおれとウソップ、ノキは上から階段ごと落とされた様だが、通路をこっちに切り換えるとしてもこの橋も壊れちまってあのマストの屋敷へも行けなくなっちまった…」


ノキの思考を読んだ様に話題が転換した。
オーズが落ちた穴は大きく、乗り越えるのは難しい。


「ノキが運ぶって手はどうだ?」
『え?』


ウソップがそう提案した。


「あァ、確かにノキは飛べるしな」
「4人一気に運べとは言わねェけど、遠回りするよりは早いじゃねェか」
『あ……。いや……その』


しまった、と少し後悔した。
ないと言ってしまえばよかったか……いや、心配事は増やすべきではないのだから、これでよかった。
しかし、言い訳が見つからない。
この状況では、ウソップの提案が最善策と言える。
ここで否定するわけにはいかないらしい。


「あと30秒待てよ。この装飾が不満だ…」
『「「橋が出来たーー!!!」」」』


フランキーがあっという間に、その空間に橋を造り上げた。
それを使って5人はマストへ向かって走る。
階段を登り、門を開く。


「………この部屋は何だ」
『女の子の部屋みたいだね』
「ずいぶんチャラチャラした部屋だ」


中はぬいぐるみとゴーストと、可愛らしい家具。
そして、ペローナが中央のソファに腰掛けていた。


「ホロホロホロホロ!!すでにてめェらはこのゴーストの恐ろしさをわかっている筈…。私は霊体を自在に生み出す“ホロホロの実”の霊体人間。このゴースト達は私の分身、人の心を虚ろにする!!ホロホロホロ、てめェら全員ここまでだ!!!」


ゴースト達が5人を襲う。
人を馬鹿にした様な笑みを浮かべたゴーストは体を貫通し、前向きな心を奪う。


「終わった、何もかも………」
「そうだ!!ノラ犬などに踏まれたい!!」
『焼き鳥になりたい……』
「サバ以下だ、おれという存在は…!!死のう…」
「みなさんと同じ大地を歩いてすいません」


膝をついた5人にゾンビが取り押さえようと飛びかかる。
ペローナが勝利を確信した時だった。
ゾンビ達は浄化され、影が抜けて行く。


「ウチの船員(クルー)に手出しはさせねェ!!!」


ゾンビ達を浄化したのはウソップだった。
フリだったのかとペローナはもう一度ウソップにゴーストを仕掛ける。
ゴーストは確かにウソップの体を貫通したが、膝をつく事はない。


「なぜだ!!!てめェ、なぜひざをつかねェ!!!技(ゴースト)は当たったぞ!!…一体どんな手を使って!!」
「どんな手も何も!!!おれは元から!!!ネガティブだァ!!!!」
「!!!?」


ウソップの張り上げた言葉の意外さに、ペローナは思わず尻もちをついた。
世界中に、ゴーストが効かない人間がいたのは予想を遥かに超えていたのだろう。


「さァ、目を醒ませてめェら。早くナミとブルックの救出に向かえ!!!お前らじゃあ………!!お前らの力じゃあ、あの女に敵わねェっ!!!あいつはおれが引き受けた!!!」

「………」
「何だこの頼れる感じ…」
「アイツ、効かなかったのか」
『すごいな…』


ウソップに励まされた4人がゆっくりと起き上がる。
理由がどうあれ、ゴーストが効かないのであれば4人よりもウソップの方に勝算があるのは確かだ。


「だが周りのゾンビ共はカタづけてからゆけっ!!!そいつらにはおれは勝てねェ!!!きっと死ぬ!!!」
「ここは全部任せたぞ!!!」
「あぁ!!違う!!ちょっと待て!!待ってー」


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