【青の鳳凰】

□死者の舞踏会
3ページ/12ページ


斬られたスパイダーモンキーは起き上がろうとする。
しかし、急に叫び出した。
口から、黒い何かが出てくる。


「何だありゃ!!」
「あれこそがゾンビの“魂”…!!」
「…魂!?目に見えて抜けていくぞ!!」


その黒い何かが飛んで行くと、スパイダーモンキーが崩れ落ちた。
動く気配もない。


「完全に停止した。……何をしたんだ!?」
「浄化です」
「……見ろ!!間違いない。あいつ…“ハナウタ”だ!!!」
「5年前にこのスリラーバークメチャメチャにした男だ!!!」


スパイダーマウス達はブルックを見て、「ご主人様」に報告する為、その場から逃げ出した。


「――あ、このクモの糸は“力”には強いですが火には弱いので」


ブルックがそう言い、フランキーは自分に付く糸を溶かして、ロビンとノキの糸も溶かした。


「麦わら達が連れ去られたんだ!!お前、この島の事色々知ってそうだな」
「ハイ。しかし…何から話せばいいやら」


手遅れになっている可能性もある、と言うと、フランキーが怒鳴る。
それに対し、ブルックは怯える様子を見せるが、得意のスカルジョークで笑った。
フランキーが銃口を向けるのを、ロビンが止めた。


「――とにかく、ふざけずに聞いて下さい」


ブルックの言葉に、またフランキーは腹を立てて銃口を向ける。
先程と同じ様にロビンが止める。


「一度お話しした通り、船の舵もきかず私が一人でこの海をさ迷い始めて数十年……」


ブルックは語り始めた。
5年前、スリラーバークに辿り着いたブルックは船を直す部品を探す為に歩き回った。
しかし、ここにいるのはゾンビばかり……。
やがて捕まり、屋敷へ連れて行かれ、そこで見たものは先に捕まった男と“没人形(マリオ)”と呼ばれるツギハギだらけの死体……。


「――そこへ見るも恐ろしい大男が現れ、なんと…男の“影”を床から引きはがし!!切り取ったのです!!!」
「影を…切り取った………!?」
『………』
「私も目を疑いました。………目は…ないんですけどーっ!!!」
「いい加減シバくぞてめェ!!!」
「もうシバいたらいいわ」


ロビンも、もうフランキーを止めなかった。
むしろ催促している。
ノキは相変わらずだな、呆れて苦笑を浮かべた。
ブルックはシバかれた後も話を続ける。

影を取られた男は倒れ、その影は“没人形(マリオ)”の体内に押し込まれた。
すると、“没人形(マリオ)”が動き出したのだそうだ。
影は“もう一つの魂”、人が死ぬまで従う魂だと説明する。
それを自分に従わせてしまえるのが、王下七武海ゲッコー・モリア……“カゲカゲの実”の能力者である。


「じゃあゾンビってのは、肉体は動いちゃいるが何も死者が蘇ってたわけじゃねェんだな」
「その通り…」


「性格」や「戦闘能力」は“影”の持ち主のもの…肉体は“没人形(マリオ)”の持つ筋力次第で決まる。
両方が強ければ、より強い従順なゾンビ兵が生まれる。
だからモリアは賞金首の影を欲しがっているのだ。


「成程…おれ達が狙われるわけだな」
「それがスリラーバークの全貌ね。モリアにとってゾンビの一番の特性は従順である事かも知れないわね。本来なら強い戦士程、従わせる事は困難なはず」
「――そう…本人と同じ戦闘能力を持つ“影”だけ戴いたら言う事を聞く筈もない本体など要りません。強い者程、気を失ってる内にすぐ海へ流されます」


それを聞いた2人は慌てるが、ブルックはまだ大丈夫だと止める。


「今から私が最善の策をお教えしますから、私を信じてその通りに動いて下さい!!」
「…あァ!?お前を信じる〜!?」
「グサーッ!!スカルショック!!!――なんて掛け合いも私数十年振りで!!ちょっと楽シ〜♪」
「聞くから早く話しなさい」
『……最善の策って、何なのさ』


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ