【青の鳳凰】

□死者の舞踏会
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「まさかあいつら3人共、さっきの麦わらみてェにあの壁に吸い込まれちまったのか!?」
『3…?あとは?』
「サンジとゾロよ」
『…へェ』


よりによって、なぜ強い奴が…。
ノキは呆れながら、スパイダーモンキーとゾンビを交互に見る。


(翼さえあれば…!!)

「……状況は最悪…!!八方塞がりとはこの事だ。早急な対策を要するが……おれに任せるか?」
「…お好きにどうぞ。対応してみるわ」
「へへ…頼もしいじゃないの。じゃあ行くぞ。“風・来・砲(クー・ド・ヴァン)”!!!!」


橋が折れる。
ゾンビ達は下へと落ちていく。
…ノキ達も同様だ。


「――まァこういうわけだ」
「乱暴な人ね」
『…!!』


2人は妙に落ち着いている。
急に体勢が崩れ、ノキに激痛が襲った。
意識が飛びかける。


「情報屋、お前飛べるんだろ……!!!」
「!!!」


フランキーとロビンがノキを見る。
背中に翼がない。
骨が千切れた肉の隙間から見える。


「おい!…くそっ」


フランキーはノキの腕を掴み、自分の背中に乗せた。
ロビンはフランキーを持ち、腕で翼を作り出した。


「え…!?お前…空を飛べるのか!!?」
「5秒程」
「短ェ!!!」


手を伸ばして渡り廊下の向こう側の建物を掴んだ。
ロビンの翼が消え、3人は壁に迫る――…。


「…みんな中庭に落ちたわ。これで終わりじゃないでしょうけど、当分は追って来ない。うまくいったわね…」
「てめェコノヤロー。今おれを踏み台にそこまでジャンプしやがったな!!」


フランキーはゆっくりとよじ登り、床を掴む。


「おい、情報屋。早く上れ」
『う…あ、ありがとう…』


ノキが床に登り、立ち上がる。
シャツに赤黒い痕が滲んでいた。


「…ノキ……」
『大丈夫…。見た目より大したケガじゃないからね……』


と、笑ってみせたが、平気である様にはとても見えない。
体の一部をもぎ取られ、体が小刻みに震えているのが、近くにいるロビンにはわかりやすすぎた。
……なぜ先程まで全く気づかなかったのか、それがわからなかった。
背中を向けなかったから?声はどうだった?よく見れば顔色が悪い。
ロビンがノキを見ながら思い詰めていると、空から何かが降って来た。
それは人の形をしている。


「ボォーーン!!!骨だけに〜〜!!!」


と叫び、それは地面へ直撃した。


『……今、何か…』
「おい、何だ。今降ってきたの」
「まさか」


細身の、アフロの人物。
落ちた時の台詞。


「いや…まァ…。およそ見当はついてんだが……」


ブルックだ。
それ以外に、考えられない。
下を覗き込んでいると、スパイダーモンキーが糸を張り巡らせて彼らの目の前に現れた。
フランキーとノキが身構える。


「おお、ちょうどいい石柱があるな」


フランキーは背負っていたものを手に持ち、ロビンに少しの間その場を任せる。
ロビンはノキを庇う様にして、スパイダーモンキーとの間に立つ。


「無理しなくていいわ」
『……。……うん…』


自分がこんなにも情けないと思った事は、そうそうない。
ノキはロビンの後ろ姿を見つめながら、わからない程の小さなため息をついた。


「シャ〜〜!!!“スパイダーねっとり網(ネット)”!!!」
「手に紡績突起………!!」


糸がロビンに向かって放出される。
ロビンはスパイダーモンキーの眼球を6本の手で叩く。
それに驚いたスパイダーモンキーは、手が触れた目に手を当てる。
糸がスパイダーモンキーに絡み付く。


「よし!ニコ・ロビン、準備いいぞ。離れてろ」


フランキーが巨大なヌンチャクを持ってそう言う。
それでスパイダーモンキーを殴る。


「“ヘビーヌンチャク”!!!」
「ボヘェ!!!」


石柱で殴られ、後ろへ吹き飛ぶ。
フランキーはヌンチャクを振り下ろす。


「ぐおおーっ!!!」


ゴン!!!


「オラ!!!」
「ふで」


ガン!!!


「べへ」


ゴゴン!!


「どえ……!!!」


一方的な攻撃。
スパイダーモンキーは手をフランキーに向け、糸をヌンチャクに絡ませる。
動かせなくなったヌンチャクを手放し、左手で爆撃を喰らわせる。


「あァっ!!!」
『ロビンちゃんっ!…あぐ』
「!」


ロビンとノキが声を上げる。
スパイダーマウスの糸に捕まる2人。
ノキは傷に直接糸が張り付き、苦痛に顔を歪めている。
スパイダーモンキーに背中を向けていたフランキーにも糸が襲う。

そこに、ブルックの歌声が届く。
上へ来ている。


「ヨホホホ。いやはや、みなさんこの島に入って来てしまいましたか」
「え……あなた下からどうやって」
「ジャンプしました。軽いのです。来てしまったのなら仕方ありませんね!!この島の全てをお話ししましょう!!」


海賊の仲間とわかって、スパイダーモンキーがブルックに手を向ける。
しかしブルックは余裕の表情で、剣を鞘へしまう。


「…“鼻唄三丁”…“矢筈斬り”!!!!」


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