【青の鳳凰】
□霧中海域
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「ごきげんよう!!!ヨホホホ!!!先程はどうも失礼!!目が合ったのに挨拶もできなくて!!!」
ブルックが3人…ルフィ、ナミ、サンジに挨拶する。
ノキは黙りながらその様子を眺めた。
「ビックリしました!!何十年振りでしょうか、人とまともにお会いするのは!!」
(え?おれは?……まァ、いいか)
ノキはブルックにつっこみたいところだったが、思考の内に留めた。
「ここらじゃ会う船会う船ゴースト船(シップ)で、もう怖くて!!さァさァ、どうぞ中へ!!」
ルフィは好奇に目を輝かせ、ナミは震えており、サンジはナミを守る様にして絶句していた。
「オヤオヤ!!そちら実に麗しきお嬢さん!!んビューティフォー!!!私、美人に目がないんです!!ガイコツだから目はないんですけども!!ヨホホホホ!!」
ナミは震えながら、謙遜する。
「パンツ見せて貰ってもよろしいですか?」
「見せるかっ!!!」
ナミはブルックにハイキックを食らわした。
ノキは苦笑し、紅茶を静かに口へ運んだ。
「ヨホホホ、オヤオヤ、手厳シィー!!!骨身にしみました!!ガイコツなだけに!!!」
「うっさい!!!」
ブルックとナミのやり取りにルフィは爆笑し、ブルックに質問した。
「お前、うんこでるのか?」
「それ以前の疑問が山程あんだろ!!!」
「あ、うんこ出ますよ」
「答えんなどうでもいい!!!」
サンジは二人につっこみ、幾つかの質問をブルックにぶつけた。
骨だけなのになぜ生きてて喋れるのか、何者なのか、なぜここにいるのか、今彼らが乗っているこの船に何があったのか、この海でどんな事が起こるのか…。
「そんな事より、お前、おれの仲間になれ!!!」
「「うおおおおおおいっ!!!」」
「ルフィ!お前正気か!?」
「ガイコツよ、ガイコツ!!」
「おう!こいつ面白ェから仲間にした!!」
「面白いって…。!…ね、ねェ」
何かに気づき、ナミは恐る恐るブルックに話しかけた。
視線の先は、テーブルの上。
そこには、湯気がたっているティーカップが置いてある。
「ティーカップ出てるけど…誰かいたの?」
「はい、今もそこに……って、いませんね。どこに行ったんでしょうか?」
「まさか幽霊じゃねェだろうな」
「他にもガイコツがいるのか!?」
「いえ、普通の方ですよ。あァ、そんなところにいたんですか」
ブルックは甲板の隅に歩み寄り、縁にもたれていたノキの腕を掴んだ。
黒い風が消え、ノキの姿が3人の前に現れる。
「「「ノキ!!!」」」
「あんた、こんなところで何してんの!?」
「てめェ、エニエス・ロビーでの事を今すぐロビンちゃんに謝りやがれ!!」
「ノキ!!お前も仲間になれ!!!」
3人は、ブルックの一歩後ろにいるノキに食いかかる。
『こ、ここには仕事で呼ばれたから来たんだ。ロビンちゃんには…ちゃんと謝った。で、前にも言ったけど、仲間にはならない』
3人の勢いにたじたじとしながら、そう答えた。
ルフィの言葉に対しては、はっきりと自分の主張を押し通した。
「えー!!何でだ!?」
『理由なら、ウォーターセブンで会った時に言った筈だよ』
ノキは苦笑を浮かべながらそう言った。
「どうしたら仲間になるんだ!」
『何をどうしても、おれは誰の仲間にもならない。仲間は作らないって決めたんだ』
引き下がらないルフィに対して、ノキは冷静に答える。
「あんたが仲間を作らないって決めた理由は何?」
『この前に言った筈だよ、邪魔だからって。忘れたの?』
「それ、嘘よね」
『!』
ナミの言葉に、ノキは息を詰まらせた。
ノキの瞳にある、斑のオレンジが揺れた。
「邪魔だって言うんなら、すぐに離れればいいじゃない。今も、空島の時だって、飛んで行く事くらいできたでしょ?」
『…』
「それをしないのは、邪魔だと思ってないから。違う?」
『……』
マントのフードで隠れた目は揺れている。
それを見透かしている様に、ナミはノキから目を離さない。
『おれは……』
――今日からおれ達の仲間だ!
『…おれは……』
「まあ、こんなところで長話もなんですし、船へ行きましょう!」
「てめェが仕切んな!!!」
ブルックがそう提案すると、サンジが怒鳴った。
だが、いつかは船に戻らないと先へは進めないので、ブルックの提案に賛成し、ノキを含める5人は麦わらの一味が乗る新たな船、サウザンドサニー号に乗り込む。
ゴースト船(シップ)と成り果てた船から降りる時、ノキとナミは向かい合った。
「私もノキには仲間になって欲しいと思ってるわ。多分、みんなもね」
『…あ、そ』
ノキのそっけない返事を聞くと、ナミは笑みを見せてから船へ降りた。
(仲間なんていたところで、どうせ…)
思考を止め、ノキは思考の続きとなる筈の言葉をため息と共に吐き出した。
――どうしてみんなの方が先に……んじゃうの…。
ノキの頭に、過去に呟いた自分の言葉がこだまする。
それを振り払い、ノキも縄ばしごを伝って、サウザンドサニー号へと降りた。