【青の鳳凰】

□奮戦、奪還
2ページ/10ページ


ルフィが目の前に階段を見つけ、走り出す。
それをフクロウが制止した。


「チャパパパパ…!!侵入されてしまったー!さっきの部屋へ行っても、もうニコ・ロビンはいないぞー。ルッチが“正義の門”へ連れてったからな」
「え!?」
『…あとスパンダムもだよ。今、そこに向かってる』


ノキはフクロウの肩に乗っていた。


「そう、今向かってるところだが、行き方も教えないし、おれ達「CP9」がそれをさせない。お前達を抹殺する指令が下っている!!チャパパ」
『まあ、だからおれらを倒さない限りニコ・ロビンを助ける事はできないって事』
「これを見ろ」


フクロウは一つの小さな鍵を取り出し、見せびらかした。
ロビンを捕らえている手錠の鍵だ。


「お前達が万が一ニコ・ロビンを救い出す事があっても、海楼石はダイヤの様に硬いのでその手錠は永遠にはずれる事はない。それでも良ければこのままニコ・ロビンを助けに行け、チャパパ」
「じゃよこせ!!!」


ルフィがフクロウ目掛けて腕を伸ばす。
フクロウはそれを避けて、地面に降り、ノキはフクロウの肩から飛び上がってルフィの拳を避けた。


「慌てるなー…!!まだこの鍵が本物だとも言ってないぞ」
「!」
「何だとォ!?」


ノキは地面に降り立ち、フードを下ろした。
フクロウは「月歩(ゲッポウ)」で宙に浮きながら、話を続ける。


「別の手錠の鍵かもしれない、チャパパパ…」
『「CP9」は5人、おれを入れて6人が一つずつ鍵を持って、君らを待ってる。本物かどうかは手錠で試さないとわからない』
「くだらねェ時間稼ぎを…!!そうこうしている間にロビンちゃんを“正義の門”へ連行しようってんだろ!!」
「――でもロビンの方が事を急ぐわ!」


ナミはロビンを奪い返してから鍵を集めると提案する。
しかし、フクロウはそうしたら鍵を海に捨てると言い、ノキを見遣った。


「まずはソアリング・ノキを倒すんだな、じゃあな」


そう言い捨て、フクロウはその場から消えた。
そして、一味はノキを見遣る。


『……まあ、そういう事だから』


ノキはポケットから手錠の鍵を取り出し、一味に見せる。


『これが本物かどうかわからない。おれの可能性は低いけど、裏をかいて本物かもしれない』


ノキはマントを脱いで床に捨て、鍵をその上に投げた。


『今度は本当に通さないつもりでいくから』


その声は明らかに冷たいものだった。


「本当に、か?」
『もちろん』


ノキはそう言い、笑みを浮かべて空気の温度を高める。


「…!!わけわかんねェ野郎だ」
『おれもそう思うよ。“熱風(ヴェント)”』
「「「!!!」」」


それが避けられたとわかると、ノキはさらに翼を動かして熱風を繰り出す。


「おい!あいつマジだぞ」
「なんでだノキ!ロビンを助けたくねェのかよ!!」
『どっちかと言われると助けたいかなァ…。でもおれも捕まるのは嫌なんだよね』


ノキは攻撃を休めずにそう言い捨てる。


「ノキ!お願い!!邪魔しないで!!!」
『じゃあおれを倒して行きなよ。そうしないとロビンちゃんが正義の門を通っちゃうどころか、鍵を持ってるCP9に会う事もできないよ』


ノキの言葉で先に動いたのはゾロだった。
刀を閃かせ、ノキの懐にまで入る。


『“赤の風(グール)”』


ゾロのギラついた眼光に怯む事なく、ノキは指を縦に振る。
その運動から出来たわずかな空気の流れが赤く染まった鋭い風となり、ゾロに牙を剥く。
その風はゾロの刀に弾かれ、元の大気へと戻る。
他人事の様にそれを眺めて、ノキは次に閃く刀を横目に確認し、それを避け、体温を高めた手でゾロの首を捉えようとする。
その伸ばされた腕を避け、ゾロはノキの腕を斬り落とす勢いで刀を振る。
しかし、強風が吹き、ゾロは後ずさった。


「百八煩悩砲(ポンドホウ)!!!」


斬撃がノキに向かって飛ぶ。
ノキはそれを避けられず、血飛沫を吹いた。


「悪ィな、ロビンの為だ」


ノキの上体がグラリと揺れるが、ノキはそれを踏ん張り、床に倒れるのを防いだ。
その時、ノキはルフィ達を背に、ゾロと向き合った状態だった。
ゾロは次の攻撃に備えて刀を構えるが、ノキが攻撃する事はなかった。
ノキは口元を緩ませてから、口を開く。


『ごめんねって、伝えといて』


声はかなり小さなものだった。
その言葉がゾロに届いたのかは、ゾロにしかわからない。
ノキの体が床に押さえつけられる。
ゾロは何も言わず、刀を収め、ノキのマントの上に落ちている鍵を拾い、ゾロは先頭を走った。


「「「そっちじゃない!!!」」」


階段が目の前にあるというのに別の方向へ行こうとするゾロに、ルフィさえも突っ込んだ。
ノキは苦笑を浮かべ、目をゆっくりと閉じた。
……まだ頭痛は続いていた。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ