【青の鳳凰】

□海列車の戦い
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ノキは窓の外を眺めながら、耳を傾ける。
後ろの車両が、どうも騒がしいような気がする。


『……』


政府の役人や海兵達が何をしようと今のノキには関係ない話だが、どうも気になる。


(ウソップが暴れているわけでもないし…)


静かなこの車両で、ノキは顔を顰める。
先程から、頭痛がする。


(……疲れてんのかな…)
『ハァ…』


もう何度目か分からないため息をつくと、カクが横目でノキを見遣った。


「先程からため息ばかりじゃな」
『…そういう年頃なんだよ』
「どんなんじゃ」


呆れたというように言い、カクはまた前を向いた。


「そんな態度じゃあ、協力する気になった様に見えんぞ」
『政府は嫌いだからね。でも行動では協力するつもりだよ』


窓の外を眺めたまま、そう呟く。


(ロビンちゃんには悪いけど、おれは卑怯者だから…ごめんね)


声にする事はなく、そう心の中で呟くと、ノキは目を瞑った。
カクもそれ以上は話しかけてこず、また沈黙が車両の中を包み込んだ。


(…きっと彼らが助けに来てくれるよ)


ロビンに話しかけるように言い、エニエス・ロビーまで眠れる様にと意識を手放した。


「侵入者か」


ノキの耳にその言葉が入った。
目を開け、報告をしに来た男を見る。


「は…はい。そういう証言で……このパッフィング・トムに“途中乗船”は不可能。侵入者がいるとすれば…」
「出航から乗せちまってた事になるな………呆れたもんだ…」
『どうせこの列車からは降りられないんだ、探せば見つかるよ』


ノキはそう言って、男に向かって、虫を払う様な仕草で車両から出させた。


「……口先も政府の味方か」
『一応はそうなるね』


ノキは口を大きく開けて欠伸をし、また目を瞑った。










その頃、最後尾の第7車両では、サンジとフランキー、それと先程仲間に加わったそげキングがある作戦を決行した。


「「「こんばんは」」」

「いたー!!!」
「罪人を含む不審者3名発見!!!」


その声を聞いて、海兵と役人は第7車両に走る。
そげキングは、閉めた扉を板で固定し開かない様にする。

Tボーンが剣を鞘から抜き、扉の周りを斬る。
しかし、そこに3人の姿はない。
屋根に登り、Tボーンは3人の姿を捉えた。
二車両先で、何やら作業をしている。


「急げ!!」
「………!?まさか!!!」


気づくのが遅く、3人は車両を切り離した。


「遅かったか………!!!」

「そんじゃみなさん!!海王類にお気をつけて!!よい旅を!!」
「達者でなー!!」


車両を切り離し、戦わずして兵力を減らす事ができた3人は、その調子で次の車両にいる役人達をのし、第4車両に入った。
その車両では、CP7のワンゼが走り回っていた。


「おっすお前らっ!!」


走るのをやめ、3人の前に止まる。


「ハラ減ってる!?おれはワンゼ!!給仕長だから何でも作れるよ。ラーメンにする!?じゃラーメンにするけど、その前に一つ知っといてほしい豆知識があるんだよね」


と、勝手に喋り出す。
そして、口に含んだ小麦粉を練り鼻から出した麺にスープを入れただけのラーメンを差し出す。


「さァめしあがれ」
「「「いるかァ!!」」」

「時間をムダにした。ワンゼ、おれ達は人を待たせてる。先を急ぐんで…………じゃあな」
「待てー!!!」


ワンゼはさっさと行こうとする3人を止めた。


「この車両を通り抜けたければ!!!おれを倒してから進め!!!」


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