【青の鳳凰】

□奪われた花
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ウォーターセブン裏町――北東の海「岸ゴミ処理場」前“大橋”。

フランキーとその妹分であるキウイとモズ、そして、メリー号とウソップのいる倉庫がそこにある。
その扉の前には、ルッチ、カリファ、ブルーノが居た。
そこへ、ノキを担いだカクが到着する。


「すまん、少々遅れた」
「いい。…そいつがソアリング・ノキか?」
「そうじゃ。ややこしくなりそうだったんで気絶させた」
「そうか」


ルッチは興味が無いという様な冷めた声でそう言うと、呼び鈴を鳴らした。
しかし、すぐには出てこない。
もう一度呼び鈴を鳴らす。
しかし、来ない。
今開ける、という声が中からかすかに聞こえる。
だが、ルッチは呼び鈴を鳴らした。
やっと扉が開くとすぐ、カリファはモズを蹴り飛ばす。


「モズ!!!」
「アニ…」
「キ…キウイ!!!」


フランキーはウソップから入り口に視線をやる。


「お取り込み中失礼…お嬢さん二人が中へ入れてくれなかったもので…」


カリファが眼鏡を直しながらにそう言う。


「ガレーラの秘書…!!ここで何やってんだてめェらァ!!!」


フランキーが飛びかかると、ブルーノが阻む。


「……ブル〜ノ〜〜!!!てめェまで似合わねェ恰好で何しにきやがった!!!オォウ!!!!」


フランキーはブルーのに顔を掴まれながらも、ブルーノを持ち上げる。


「何だか雰囲気が違うじゃない。トロイ酒場の店主がよ…オォ!?コラ…」


ブルーノは人差し指を立て、構える。
ルッチはため息をつくと、フランキーを蹴り飛ばしブルーノから放した。


「今あいつを殺してどうする、バカ野郎!!」
「……悪い…」


フランキーは立ち上がって4人に啖呵を切る。


「何の集まりだ…神妙なツラぶら下げやがって、ずいぶんとスーパーなマネしてくれるじゃない…。まだ嫁入り前のウチの妹分達を傷物にしてくれやがってコラ。お前ら何でこの場所の存在を知ってる、ここはおれの秘密基地だ!!!」


しかしルッチはそれを無視し、冷静な口調で言う。


「おれ達の都市での暮らしは仮の姿。本職は…世界政府の“諜報部員”だ……!!!」
「!!?政府の……!!!お前らが!!?」
「お前にはわかるハズだ。おれ達がここへ来た理由もな」


驚きを隠せていないフランキーに、ルッチはさらに言葉を続ける。


「フランキー、我々はもう全て知ってる。ここへ来てとぼけてくれるなよ…苛立ちが募るだけだ。お前の本当の名は“カティ・フラム”。8年前に死んだと言われていたトムのもう一人の弟子だ!!」
「……どうやって調べたかは知らねェが、見事なもんだな…。同時に妙な胸騒ぎがしてきた…」


そう言うと、少し間をおいて、恐る恐る聞いた。


「あの…バカは………、…………アイスバーグは……元気か」
「殺した」


ルッチの容赦ない一言に、目を皿のように丸くした。
衝撃的で、声も出せない様だ。


「トムからアイスバーグへ、アイスバーグからお前へ――それは受け継がれた…長かった我々の任務もいよいよチェックメイト。さァ、世界最悪の戦艦…“古代兵器”プルトンの設計図を、こっちへよこせフランキー!!!」


呆然と立ち尽くすフランキーに、ルッチはもう一度言う。


「聞こえてるのか!?渡せと言ってるんだ。カティ・フラム」
「てめェらに渡すもんはねェよ!!!!」


と拳を飛ばすが、それはあっさりと避けられてしまった。
できた隙に、ルッチは手の腹でフランキーを突き飛ばした。
最後の拳に飛ばされたフランキーは、壁を破壊して隣にあった部屋に倒れた。


「何だ…この汚い部屋は」


そこにあるものは全てホコリを被り、蜘蛛の巣が張っていた。


「製図室……?」
「設計図を隠すにはいい場所だ。探せ」


4人はその部屋に入る。
ブルーノが壁に付けられていた名札のホコリを払う。


「“カティ・フラム”、“アイスバーグ”、“トム”」
「……さわんじゃねェ…。人の想い出に…土足で踏み込むもんじゃねェぞ…」
「!」

「――ここはおれ達の育った場所だ。造船会社トムズワーカーズ。倉庫はボロいが、世界一の造船技師が…ここにいた」


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