【青の鳳凰】

□奪われた花
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発火装置作動と同時刻…


『!』
「何だ!?」
「屋敷からだぞ!!?」


燃え上がった炎にノキは目を見張る。
それはノキだけでなく、そこに避難していた島の人達もその炎を見て騒ぎ出す。


「海賊達め!なんて事を!!」
「アイスバーグさんや職人達は大丈夫なのか!?」


真実を知らない人々は屋敷の方を見て、犯人がルフィ達だと思い込む。


『……』


勢いづく炎に、ノキの体が震えた。
何故震えるのか、ノキにもわからなかった。
ただ、恐怖心が無意識に体を震わせていた。
冷や汗が額を伝い、落ちる。
ノキにとって、その水滴が地面に弾けるまでの0コンマ数秒が何時間にも感じられた。

ズキンッ…


『っ…』


マリージョアにいる時と同じ様な頭痛が襲う。
政府に関連した機関、その施設以外に、この頭痛がくるのは初めての事だった。


《―――》
『なっ…?』


ふと、誰かの声が聞こえた。
それは、その場にいる人々の声とは全く異質なもので、まるで頭の中に響いてくる様な声だった。


『………。あァ、そろそろ時間かな』


ノキはそう言うと、トランクを持って立ち上がる。

相変わらず、電伝虫は鳴らない。
ふと、最悪な状況が脳裏に浮かび、ノキは首を振った。


『まさか…そんな、ね』


自分に言い聞かせる様に言い、2番ドッグから出て、海の様子を見る。
波は荒れ、南風が吹く。
船で行くのは無理、飛んでいくにも風が強すぎるため、ノキは海列車に乗ろうと駅に向かう。

ルッチ達は屋根の上を駆け抜け、フランキーこと、カティ・フラムの元へ行く。


「ブルーノ、フランキーはお前の酒場にいたのか」
「あァ。だが“麦わら”を探しに飛び出した」


昼間、フランキーはブルーノの酒場に行き、ルフィ達から盗んだ金で酒を堪能していたのだ。
しかし、突然カウンターを破壊すると、飛び出したのだった。


「成程、じっとしていてはくれねェか」
「――じゃが、間の悪い奴とは実際おるもんじゃ」


カクが口を開く。
下を見れば、そこにはフランキーを慕うフランキー一家の姿があった。


「聞けー、麦わらー!!」
「「長っパナは預かった」!!」
「そうだ!!預かった!!」
「よっ!!」

「「ウニをスシ詰めにされたくなかったら」」
「バカ、違うだろ何回言わせるんだ。「海に沈められたくなかったら」だ!!」

「「ウニみ」」
「「海に」!!!」


騒いではいけないというのに、今の状況を知らないフランキー一家は大声でルフィへの言伝を叫ぶ。


「「海に沈められたくなかったら橋の下倉庫へ来い」!!!「フランキーより」!!こうだ!!」


ルッチは仮装で使われる様な仮面を被り、彼らの前に行く。


「誰が誰を………どこで待っていると言った?」
「何だ!?てめぇはー!!!おれ達が一体何ンキー一家だかわかって話しかけてんのかァ!!?」


突然現れた人物がCP9の諜報部員とは知らず、フランキー一家の一人が啖呵を切った。


「わっはっはっは!!」
「そうだ、おれ達はお前なんかにゃ」
「死にたくなければ、3秒で答えろ」
「………は?」
「オォ、やっちまおうぜ、フザけた奴だ」

「橋の下倉庫とは……どこの事だ。そこに…フランキーは……いるんだな?」






















「ぎゃああ〜!!!」


悲鳴が、誰もいない街の路地に響く。


「ヒィ〜!!!アニギ……!!!アニ゙キ助け…!!!」


ルッチの指先は、容赦なく彼らを突き刺した。


「アニキには…おれからよろしく言っておく…」


その路地には、先程騒いでいたフランキー一家の無惨な姿があった。


「場所はわれた。行くぞ」
「そうじゃ。すっかり忘れておったが…ソアリング・ノキの捕獲はどうする?」


思い出したかの様にカクがルッチに聞いた。
設計図などのせいで、すっかり忘れてしまった様だ。


「…すぐに行けるか」
「愚問じゃ」


カクは別行動を取り、他3人は先にフランキーの元へ。
その路地は、ノキの歩いている場所から、そこは遠くなかった。
その時、ノキはふと足を止めた。
風向きのせいで、フランキー一家の叫び声が聞こえたからだ。


『……急ごう』


歩みを速め、駅へと急ぐ。
しかし、前に人影が立ちはだかった。


「ソアリング・ノキだな」
『そうだけど…』
(ウソップ??)


思わず首を傾げる。
しかし、鼻が角を帯びている事に気がつき、ウソップではないと理解する。


『………CP9?』
「そうじゃ」


ノキはカクの後方を確かめた。


『1人?』
「わしだけ別行動しとる」
『ふ〜ん…。……スパンダムって奴から連絡がくる筈なんだけど』
「予定変更じゃ。今から我々に同行願いたい」


その言葉に、思わず警戒する。
穏便に、という訳ではなさそうだからだ。


『…』
「政府に逆らう気か?」


ノキが翼を微かに動かすと、カクはすかさず口を開く。


「別に咎めはせんが、困るのはお前の方じゃぞ」
『………。めんどくさいなァ…』


ノキが眉間に皺を寄せながらそう呟くと、カクは瞬時にノキの背後を取った。


「悪いが…急いどるんでな」


ノキが振り返る前に、ノキの首に手刀を食らわした。
そこでノキの意識は途切れた。


「さて…」


カクは気絶するノキの両腕を後ろに回すと、手錠をはめ、彼を担いだ。
そして、ほか3人と合流する為に、カクは地面を蹴った。


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