【青の鳳凰】

□水の都とCP9の企図
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ノキはジャヤから飛び立ち、船を泊めておいた島の港へ飛んだ。
船の甲板に乗り、見張りとしてそこにいた鳥の頭を撫でる。


『ありがと。誰かから電話あった?』


ノキがそう聞くと、鳥は何かを伝えるかの様に鳴いた。
頷きながらそれを聞き、その鳥を連れて船室に入ると、電伝虫のそばに置いてあるいくつかのメモ用紙を見た。
それを指差し鳥を見ると、再びノキに説明する。
ノキはため息をつき、めんどくさいとでも言う様に頭を掻いた。


『これは?』


赤のインクで書かれている紙を指差し、聞いた。
“赤”は優先するべき仕事の内容を書くようにしている。


『CP9?それとこれは?……ああ〜…』


説明を聞いたノキは、怪訝そうに顔を顰める。


『五老星か……』


のろのろと出港の準備をする。
行きたくないという気持ちがよく表現されていた。
船を進め、ゆっくりと海に出た。






















“赤い大陸(レッドライン)”のふもとにある近い島に船を止め、ノキは盛大なため息をついた。
かすかに見える“赤い大陸(レッドライン)”を眺め、時間を少しでも稼ぐ為に、島に入った。

街の人々の視線はノキに向いた。
黒いマントに身を包み、フードで顔の半分が見えていないという、怪しげな服装をしているからだ。
しかしノキは、そんな事は気にしていない様で、ぶらぶらと島中を回り、適当な店に入っては必要なものを物色していた。
買い物を続けている内に本来の目的を忘れてしまい、船に戻り両手に抱えていた袋をおいた。
それと同時に電伝虫が鳴った時は、軽い気持ちで受話器を取った。
その電伝虫が、政府専用の物だとは気づかずに。


『もしもし?』


という、明るい声はすぐに消えた。


[いつになったら来るつもりだ]
『…あ〜……』


聞き慣れた声に肩を落とす。


『はァ〜〜…』


わざとらしくため息をつくと、赤い大陸(レッドライン)を見た。
この島からマリージョアはかなり近い。
今飛べば、数分もしない内に辿り着ける距離だ。


『…すぐ行くよ。5分で着く』


と、受話器を置いて、再びため息をついた。


『……めんどくさいなァ…』


と、渋々翼を広げる。
そして、トランクを持ち、甲板を蹴った。






















マリージョアに着いたノキは、フードをおろしマントを外した。
敬礼する男達をちらりと見遣り、相変わらず堅苦しいな、と肩を竦める。


「ソアリング・ノキ様ですね?」
『そうだよ。なんなら手配書で確認する?』


男の言葉におどけた声で返し、笑った。


「五老星様がお待ちです!お急ぎ下さい…!」
『わかってるよ』


そう言い、ノキは案内されるままに五老星のいる部屋の前に辿り着いた。


「失礼します!ソアリング・ノキ様がお見えになりました…!!」
「入れ」


機械的な声が聞こえ、海兵は扉を開けた。
ノキは、ため息をついてから中に入った。

ノキの前に座る5人は、ノキが来客用のソファに腰掛けたのを見遣る。


「遅かったな」
『色々あって。で、また“いつもの”なんだろ?早く済ませよう』


と、苦笑して、足を組んだ。

ノキ窓から外を眺めていた。
毎回呼ばれるたび、同じ事を話すだけだ。
疲れてしまったのだろう。


「――聞いているのか?」
『耳には入ってる』


と、上の空で答えた。
窓の外には鳥が飛んでいる。
それを羨む様に眺め、早く終わらないかと願いながら、五老星の問い掛けに相槌を打っていく。

その時、ノキの電伝虫が鳴った。
ノキは足元においたトランクを見遣る。


『出ても?』
「…………手短にな」


ノキは電伝虫を持ち、窓の前まで行くと、受話器を取った。


『もしもし。こちらは水上の情報屋――…』
[ソアリング・ノキだな!]


あまりの大声の為、思わず受話器を顔から遠ざける。


『そうだけど…あんた誰?』


ノキは淡々とした声で、電話越しの男に言った。
早く話を済ませたいと思っているのだろう。


[CP9長官のスパンダムだ]
『……CP9…。あァ、電話してきてたね。…おれに何の用?』


ノキは「CP9」と聞いて、めんどくさそうに言った。


「お前に話があるのさ。ヌハハハ…!お前の過去について……」


スパンダムが言い終わる前に、ノキは通話を切った。
乱暴に受話器を叩きつけた為、金属音が静かな室内に響く。
ノキの瞳のオレンジがゆらゆらと揺れる。
しばらくその場に突っ立っていたが、ノキはすぐに電伝虫を抱えてソファに戻った。


『アホみたいな笑い声…』


と、呟きながら座り直した。


「………話を聞かなくてもよかったのか」
『聞いたところで…たかが知れてるよ』


5人は目を配らせ、話を続けた。
その間、ノキただ窓の外を眺めてばかりだった。


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