【青の鳳凰】

□闘争の始まり
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一方、「脱出組」


「風よし!!舵よし!!んー、実に快適。巡航(クルーズ)は順調だ」
「しかしノロイなコリャ。おい航海士!何とかしろ」
「何ともなりません、キャプテン・ウソップ。“雲の川(ミルキーロード)”は起伏が激しいから、ダイアル船の動力しか頼れないんだもん」


今、メリー号はカラス丸に押されて進んでいる状態。
普段でも遅いというのに、キャラヴェル一隻を押すとなれば、遅くなるのは当たり前だ。


「そうだ。“変な騎士”のお薬の時間よね」
「我が輩、名をガン・フォールという。ガン・フォール」


ガン・フォールは変な騎士と呼ばれたのを訂正するが、見事にスルーされた。


「この国の…歴史を少し…………話そうか…」


ガン・フォールは静かに口を開いた。


「我が輩…6年前まで“神”であった」
「頭打ったかおっさん」


すかさずウソップのツッコミが入れ、そのウソップの頭をピエールがかじった。


「…………この“神の島(アッパーヤード)”がスカイピアに姿を見せたのは…おぬしらの知る通り、400年も昔の話だと聞く。それまでの“スカイピア”はごく平和な空島だったそうだ」


ガン・フォールの言葉を、一同は静かに聞く。


「たまに“突き上げる海流(ノックアップストリーム)”に乗ってやってくる青海のわずかな物資は、空の者にとってはとても珍しく重宝される」


“大地(ヴァース)”が空にやって来るのは、あり得ない。
度重なる偶然が起こした奇跡。


「……しかし“大地(ヴァース)”には先住民もいて……“大地(ヴァース)”をめぐる戦いは始まった。その者達こそが“シャンディア”」
「ゲリラ達の事か………」
「うむ」

「じゃあ、あいつら元々、地上の“ジャヤ”に住んでたやつらなのか!?」
「そうだ。きっと不本意に島ごと空へ飛ばされたのだ」
「なのに島から追い出しちゃったって事!?」
「そうだ。“空の者”が私欲の為に彼らの故郷を奪い取った…。以来400年、シャンディアと空の者との戦いは未だ止まぬ。シャンディアはただ故郷を取り戻そうとしているだけだ」

「それ……ちょっと切ないわね」
「「じゃおめェらが悪いんじゃねェかよ!!」」


サンジとウソップがガン・フォールを指差して言った。
ピエールが2人の頭をかじる。


「――そうだな。おぬしらの………言う通りだ」


ガン・フォールは薬を飲む。
ふと、ナミが“神(ゴッド)・エネル”について聞いた。
それについてガン・フォールは、6年前に突如兵を連れて、神隊とシャンディアに大打撃を与え、“神の島(アッパーヤード)”に君臨したという。


「聞いてりゃ“神(ゴッド)・エネル”ってのはまるで恐怖の大王だな」


サンジはタバコの煙を吐き、船首の前に座った。


「コラコラコラ、お前滅多な事を言うもんじゃねェぞ!!?全能なる“神(ゴッド)”は全てを見ているのだ!!!」


ウソップはサンジに何度も手刀を食らわす。


「お前はいつからスカイピアの人間になったんだよ」
「恐怖か…いや、それより性質が悪い」


エネルは国外から来た者を犯罪者にし、スカイピアの住民に裁きまで導かせる。
そうする事で、“罪の意識”が住民達の中に生まれる。
まるで、コニスのように。


「己の行動に罪を感じた時、人は最も弱くなる。エネルはそれを知っているのだ。「迷える子羊」を自ら支配する、まさに“神”の真似事というわけだ。…食えぬ男よ…」


その言葉に、ナミは顔に手を当てた。


「…エンジェルビーチに着いた時はここは楽園にさえ思えたのに、とんでもない…。かつての黄金郷もえらいトコへ飛んで来ちゃったものね……」


ナミがそう言うと、ガン・フォールが思い出したかの様に言った。


「その……昨夜から騒いでおる、オーゴンとは一体……何なのだ?」
「……え??」










「逃げろ〜!!!大蛇(ウワバミ)だ〜〜!!!」
「ギャ〜!!!」
『でかすぎだー!!!』
「何て大きさ。これも空島の環境のせいかしら」
「ナマズみてェな奴だな…ブッた斬ってやる…!!!」


大蛇(ウワバミ)が5人を襲う。
全員が避け、大蛇(ウワバミ)が木に噛み付いた。
その木は、いやな音をさせて溶けていく。


「毒…………!!?」
「こりゃ逃げた方が………良さそうだな……」
「確かに」
『賛成…!!』
「コエ〜!!」


大蛇(ウワバミは)更に彼らに襲いかかる。
それを避けていく内に、彼らははぐれてしまった。


「困ったわ…………」


元のコースで、ロビンはそう呟いた。


「コースへ戻ってかも誰も来ない…………。私が逸れちゃったのかしら。先に行って待つ方がいいかしら…………」


そんな冷静なロビンとは裏腹に、チョッパーは慌ただしく走り回っていた。


「あいつらどこだ?ちょっと目を離すとコレだ……。まァいいか。あいつらはあいつらで何とかやるだろ。おれもだいたい地図は頭に入ってる。右だな」

「まったくあいつら。さては迷子か、しょうがねェな。先行って遺跡で待つか…。“まっすぐ南”だからあったかそうな方だな…」


ゾロ、ルフィに至っては、自分がはぐれた事をわかっていない様だ。


『しまった…』


ノキもはぐれてしまっていた。


『地図…もう少しちゃんと確認しておけばよかった』
「ジョ?ジョ〜」
『え?案内してくれる?ありがとう、助かるよ』


サウスバードに懐かれ、ノキは森を進んでいく。



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