【青の鳳凰】

□試練と生け贄と神の島
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「第2級犯罪とは………“神(ゴッド)”を何と心得るか…」
「選べ試練………与えよう、我々の手で……」
「罪とは無知の生くる事だ」
「安らぎを得る術は天道には続かねェ…」





「「沼」!!!「鉄」!!!「紐」!!!「玉」!!!」
「選べる試練は1つだ!!」


立ち並ぶ入口に、だんだん迫っていく。


「どうする……!!?」
「よし!!「玉」行こう!!楽しそうじゃねェか?」
「試練だぞ。どれも楽しいもんか!!」
「いや…だが「玉」はおれも賛成だ!!唯一暴力的な響きがない。…ような気がする」


ゆく道が決まり、船は「玉」の試練と書かれた入口へ入った。


「おいおい、目を閉じるな運転手!」


目を固く閉じているウソップに、サンジは言った。
ウソップは目を開けて前を見る。


「ああっ…開けてもまっ暗だ…」
「あ…そうだ。こういうのもあるんじゃねェか?」
「ん!?何だよ」


ルフィが何か思いついたかのように口を開いた。


「入口が4つあったろ?どれかが当たりでどれかがハズレ!」
「え!?何だよそりゃ。今更言うなよ!!ハズレたらどうなるってんだ!?」
「……ハズレだったら…そうだな。空島から落ちるとか」
「バカ言え落ちてたまるか!!青海まで1万mだぞ!!?落下中に人生何回振り返るんだよ。落下にもほどがあるってもんだ!!」


そんな言い争いをしている間に、出口はすぐそこに…。


「アホな事言ってんじゃねェよお前ら…そんなわけ………」


しゅばっ…!!!

船は勢いよく、宙を飛んだ。
雲の川が、先になかったのだ。
ルフィの言った事は本当の事に?
船はそのまま、落下していく。



「は!?」
「ええっ??」
「いやだァ〜!!!ウソだろォ〜〜!!?」
「え〜??」


ボフゥ…ン


「!!!!」


船は青海には落下せず、雲の上に着地した。


「本当に…1万m落下すんのかと……!!!」
「おめェが紛らわしい事言い出すからだろ!クソ野郎!!」
「うっはっはっはっはっは!!あ〜びびった!!死ぬかと思った〜」


ウソップは穴という穴から液体を出し、サンジはルフィを蹴る。
そんな2人と違い、ルフィは笑っていた。


「それにしても何だここは……」
「玉だな!!「玉」!!!」


そこには、丸い雲の玉がいくつも浮いていた。


「小さい“島雲”の「玉」だ」
「……これの何が試練なんだ…!?」
「…さァな。何もねェんならそれが一番。だがそうもいかねェだろ」
「もしかして当たりなんじゃねェのか!?他の入口選んでたら今頃えらい目にあってたとかよ」


ルフィがそう言うと、ウソップが体を起こした。
そしてルフィの言った事に同意する。


「罪人相手に当たりなんて用意するか!!少しは考えろ。さっきみたいに何か仕掛けがあるかも知れねェ…」


サンジは船の運転をしようと、前を向く。


「のどかわいた。お茶にしようぜ」
「あァ!そうしよう。お前のリュックのせんべい開けろよ」
「あー、いいですなー」
「てめェらァ!!!」


緊張感のない2人に一喝。


「空せんべいは一枚は?」
「ダメだ!!!いいか!!おれが運転するから!!お前らは左右をしっかり見張れ!!」


サンジは舵を握り、思いふける。


「(…しかし変だな…。神官は4人いると言ってたから、おれはてっきり4つの入口がそれぞれそいつらに通じてるもんだと…違うのか…!?)」

「ヘ〜イ、ウソップ。パスッ!!」
「おっし。オーライオーライ…」
「見はれっつってんだろうが!!!」


ルフィとウソップはせんべいを口に雲の玉をトスしていた。


「シャーッ!!!」
「ギャアアアア!!!」
「ええ〜!!?」


いきなり、雲の玉から蛇が飛び出した。
ウソップは噛みつかれそうになったのを避け、その玉をルフィが蹴った。

また次に玉が船の前に来た。
ウソップはサンジに蹴るように催促し、サンジが玉を蹴った。

ボン!!

蹴った瞬間、玉が爆発した。


「どうなってんだこの「玉」は〜っ!!!」

「ほーうほうほう!!何が出るかはお楽しみ。その雲の名は「びっくり雲」」
「!!?誰だ!!!」


3人のものではない声が耳に届いた。
その声の方を振り向く。


「ほっほほう!!へそ!!!よくぞ我が“玉の試練”を選んでくれた。ほっほほう!!」


誰かが雲の玉の上に乗っていた。
神官の1人、サトリだ。


「お前が「玉の試練」か!!?「玉」か!!?」
「ほっほほーう。ほほ〜う!!」


サトリは玉の上で飛び跳ねる。


「…何だ。マヌケそうな奴だな」
「おいダンゴ!!ナミさん達は無事なんだろうな!!?」


サンジがサトリに噛みついたが、サトリは気にせずに「生け贄の事は知らない」と言った。
ルフィがサトリに攻撃を仕掛けようとする。


「ほう。のびるのか…!!」
「ゴムゴムの……え?」


その攻撃はかわされ、サトリは手を振りかぶった。


「アイイイイイイイイイ!!!」


掌が顔の前にきた瞬間、ルフィの体が飛んだ。
そしてそのまま、下の木に激突した。


「え!?え!!?ルフィ!!?」
「おい平気なんだろ!!?ただの打撃がお前に効くハズねェ!!」

「打撃…?少し違う…!!」


サトリの掌からは蒸気が立っている。
サンジがサトリに蹴りかかる。


「ほっほう……!!右足上段の蹴り…」
「“首肉(コリエ)”……何!!?」


サンジは「上段の蹴り」をしようと右足を上げていた。
サトリはそれを避け、ルフィと同じ攻撃をサンジにした。


「う!!……うわああ!!!サンジィ!!!」
「打撃とは違う……“衝撃(インパクト)”!!!」


ウソップも衝撃に飛ばされ、地面に落ちる。


「衝撃は体の“髄”より破壊する!!!」
「あのヤロー…一体何を……!!」
「さっぱりわからねェ…。あいつ得体が知れねェ!!!」

「ほう!!ほほ〜う!!おれの名は「サトリ」!!!「全能なる神(ゴッド)・エネル」に仕える“神官”その1人だ!!!この「迷いの森」のヴァースを掌っている!!」
「迷いの森?」
「そう。この森の事だ…。そして迷うのはお前達の船!!」


サトリがそう言うと、アクセルが勝手に動き、船が進んでいく。


「ああっ!!船が勝手に!!!」
「これから船はこの森の中の“雲の川(ミルキーロード)”を無作為に走り回り…やがて勝手にこの森唯一の出口から出て行くのだ」


船が無ければ、生け贄の祭壇へは行けない。
その前に、倒さなければならない。


「ようこそ禁断の聖地“神の島(アッパーヤード)”へ……ほうっ!!ここは“迷いの森”生存率10%!!「玉の試練」!!!」


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