【青の鳳凰】

□試練と生け贄と神の島
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ルフィ達を乗せた船は、ゆっくりと“神の島(アッパーヤード)”の入口へと進んで行く。


「入口だ……!!!」
「引き返すなら今の内だぞ。覚悟はできたか?ウソップ」
「え!!じゃあできれば帰らせて貰…」
「行くぞ!!!」
「聞く気ねェんじゃねェか!!!」


そして入った“神の島(アッパーヤード)”。
怪しげな雰囲気に、ウソップは息をのむ。
動く人影と、不気味な鳥の鳴き声に、ウソップは反応した。


「うわっ…わ!!!な、何かいるぞ!!!」
「そりゃおめー、森だもんよ…」
「いや、やっぱり待て。お前ら周り見ろよ。コレ、船の残骸じゃねェか!!?」
「そりゃ森だもんよ」
「関係あるかァ!!!」


ガサ…と物音。
ウソップはそれに感づき、オールでこぎ始めた。


「ん?」


ズンッ!!!


「うぎゃああっ!!!!」


刃物が振り下ろされた。
寸でのところでそれを避ける。
その先にあった廃船は、その刃によって真っ二つに割れた。


「油断するな、もう1コ来る!!!」


ガラガラガラ

ガコココココ…!!


「思いっっきり漕げ〜〜っ!!!」


複数の刃が船に襲いかかる。


「前!!前見ろ、ブレーキだルフィ!!!」


目の前には最後の刃。
思い切りブレーキを踏むが、間に合わない。


「ゴムゴムの…!!!」
「おいルフィ。何やってんだ。狙うならあっちだ!!!」
「いいからそのまま進め!!!」


ルフィは両腕を伸ばし、水面を叩きつけた。
船は勢いよく前方へ飛んだ。


「うはァっ!!!抜けた!!!」
「危ねェ!!!」
「ああ、でも何てこった。入口がもう…あんなに遠くに…」


つい先ほど通ったばかりの入口はすでに小さくなっており、引き返すには遠すぎる距離だった。


「ここで降ろそうか?」
「アホ言え!!死ぬだろ!!!」
「――だと思うね」


巨大なヤツメが船に襲い掛かる。
サンジがそれに蹴りを入れ、倒した。


「この“雲の川(ミルキーロード)”、止まってウダウダやってたらエライ目にうぜ。進み続けるしかなさそうだ……!!!」
「うわっ!!今度は巨人が現れた!!!」
「バカ、石像だ」


進む先には、4つの入口。


「「沼」の試練、「鉄」の試練、「紐」の試練、「玉」の試練」
「うはァ!!どこ入ってもいいのかな!!」
「おれ達とゲームしようってのか“神(ゴッド)”はよ…!!!」





一方、超特急エビに連れ去られたノキ達は…。


「ぐあ!!!」


バフッ…!!!


「出てきた!!」
「ゾロ!!!」
「サメだ!!!空サメにゾロが負けてる!!!」


ゾロの姿は雲の中に消えた。


「あ……あがって来ない…」
『食われてたりして』
「ギャ〜!!ゾロが食われたァ〜〜!!!」
「………食べられたんなら雲が赤く染まる筈」


ロビンは真顔でそう言った。
それにナミがつっこむ。


「あァウザってェ!!!!」


ボカァン!!!


「ハァ……ハァ……まいったな。これじゃ岸へも渡れねェ…。一体どこなんだここは……」
『生け贄の祭壇…』
「知ってんのか?」
『あ、いや…。…見た目がそれっぽいな〜…みたいな?』


ノキはヘラッと笑い、流した。


「しかしえらいトコに連れて来てくれたもんだ。あのエビ……」
「あんたサメ殴り飛ばしたわね。剣士のくせに」
「ゾロは強いなー」
『刀では勝てなかったんじゃないの』
「何か言ったか?」
『いや、なんにも』

「……ここで飢えさせる事が天の裁きかしら」
「そんな地味な事するもんなのか?神ってのは」
「さァ…会った事ないもの」


ゾロはナミが放り投げた服を着ると、「森に入る」と言った。


「言うだろ。「道に迷ったらそこを動くな」」
「あんたが一番動くな」


ゾロの方向音痴さは恐ろしいものだが、それを知らないノキは…。


『いいんじゃない?ロロノア・ゾロの言う事も一理あるし…。おれも行こうかな』
「ちょっ…」
「それに、この島には神がいるんだろ。ちょっと会ってくる」
「やめなさいったら!!あんな恐ろしい奴に会ってどうすんのよ!!」
「……さァな。そいつの態度次第だ」


ゾロはニッと笑った。


「神官だってこの島にいるのよ!?とにかく“神”は怒らせちゃいけないもんなの!!世の中の常識でしょう!!?」


ナミはそうゾロに怒鳴った。
が、ゾロは笑みを浮かべたままナミに言った。


「悪ィがおれは、“神”に祈った事はねェ」


その言葉にチョッパーは目を輝かせ、ナミは両手を合わせて神に「ゾロと関わりはない」と言った。


「あのつるが使えそうだな」


頭上にあるつるを指して言った。


「私も一緒に行っていいかしら?」


ロビンがゾロにそう言った。


「あァ!?いいが足手まといになるなよ」
「ちょっと…ロビンまでどこ行くの!?」
「――これを見て」


そう言って壁に触れる。


「この祭壇、作られてから軽く1000年を経過してるわ。こういう歴史ある物って…疼くのよね、体が…」


笑みを浮かべ、ナミ達の方を向いた。


「宝石のかけらでも見つけて来たら、少しはこの船の助けになるかしら」
「私も行きマス」
「ええ!!?」


ナミの急激な変化に、チョッパーは驚愕し、訊いた。


「あんなに恐がってたのに……」
「歴史☆探索よ!」
「(目が“ベリー”だ)」
『やっぱりいい性格してるね』


ノキは肩をすくめ、苦笑した。
ゾロは咳払いをし、つるに手をかけた。


「アーーアアーー…」
「それは何、言う決まりなの?」
『アーアアー…あははっ』
「あんたもか!!!」


ゾロ、ノキに続き、ロビンも岸にたどり着いた。


「…ちょっと高いかも」
「50mくらいよ。失敗したら死ぬわ」
「そんな事言わないでよ!!」


ナミは思い切ってつるを握る手に力を入れ、足を地面から離した。
ロビンがナミを受け止め、一行は森の中へ…。


「ナミはゾロ達がいるから大丈夫かな。おれは恐くて行けないもんなァ」


1人残されたチョッパーはナミ達を見送り、工具を手にする。


「……とにかくおれは今やれる事をやろう!危険な森で1人で船番なんて信頼されてる証拠だ…!!そうだ!!おれは1人でこの危険な場所に…」


ある事に気がつき、動きを止めた。


「(一番危険なのおれだっ!!!!)」


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