【青の鳳凰】
□未体験の白い海
1ページ/11ページ
地上7千メートル。
ノキは分厚い雲の下で鼻歌を歌っていた。
『ん〜ん〜…♪……ん?』
そこでノキが目にしたのは……雲から突きぬけて落ちる、人。
「あ゙ああああああ〜〜!!!!」
『うわァ!?何やってんだ!!』
高速で飛び、落ちている人を掴まえた。
『ふゥ。間に合った』
「ギャーー!!!浮いてるーー!!!」
『何で落ちたりしてんだよ?空の人間なら、どの辺まで潜っていいかなんて分かってるはずだろ?』
まったく…とため息をついて、腕を引き上げ、背中にひょい、と乗せる。
「おまっ…お前!!飛んでるゥ!!?」
『静かにしててよ。…うわ!今度は手が落ちてきた!?』
「ルフィだ!!」
その伸びてきた手からさらにいくつもの手が生え、2人を掴んだ。
グン!と引っ張られ、雲の海をつきぬけ、空の上へ…。
「やったァ!!上がっ…」
「!!?」
その2人とともに上がった物は…。
「何かついてきたぞォ!!!」
「いやあああああ!!!」
「ウソップを食う気だ!!!」
巨大な海王類のような生物。
しかし、数分としないうちにその2匹はやられた。
「で、ウソップ。こいつは何だ」
ウソップがしがみついてきた彼は、濡れたマントを絞っている。
「こいつに助けてもらったんだ」
「はァ?ここは空だぞ?」
「飛んでたんだよ。あの羽で」
ウソップが指差す。
自分の事を話していると気づいたノキは、彼らに振り向いた。
「鳥人間だ!!」
「悪魔の実の能力者か!?」
『あー…いや、これは……まァ、いいや』
「ノキ…?」
ロビンはノキの顔を見て、そう呟いた。
自分の名を呼ばれ、ロビンの方を向く。
『…ロビンちゃん?』
「ギャアアアアアアアア」
「うるっっせェな今度は何だウソップ!!!」
2人の雰囲気はウソップによって掻き消された。
「ズボンの中に……………!!なんかいた…………」
そう言い残して、ウソップは気絶した。
「厄日ね」
『…そうみたいだね』
「これが……“空魚”じゃない?ノーランドの日誌に書いてあった“奇妙な魚”」
ロビンはウソップのズボンの中にいた魚を持って、楽しそうに観察をする。
「おそらく海底のないこの“空の海”に対して、生き残る為にいろんな形で進化を遂げたんだと思うわ」
ルフィはその魚をサンジに持って行く。
「ソテーにしてみた」
「こりゃうめェ!!!」
「まだ検証中でしょ!!!?」
ノキはその様子を笑い、船の縁に立った。
「あ、お前」
『ん?』
「ウソップを助けてくれたんだってな!ありがとう!」
「よく見たら可愛らしいお嬢さんですね。お名前は?」
ノキの手を取り、キスをしようとする。
その寸前で、ノキは手を振り払う。
「…コックさん。彼、男性よ」
「ぬわにィイイ!!!?」
ロビンの一言に、サンジは目が飛ぶのではないかというほど驚く。
『…おれ、男だけど』
「言うな!!言うんじゃない!!!」
「エロコックが」
「んだとテメェマリモ!!」
『…』
「気にすんな。いつもああだ」
『ふーん…』
(モンキー・D・ルフィにロロノア・ゾロ…。ということは、ここは麦わら海賊団…)
顎に手を当てて、その船内にいる人物を見た。
「聞いてもいいかしら?あんた、何者?」
ナミがノキの前に立って、そう訊いた。
『ただの情報屋だよ』
「情報屋?」
「ソアリング・ノキ。“水上の情報屋”よ。航海士さん」
「え!!?」
ナミは目を丸くし、ノキを見る。
「“水上の情報屋”?何だ?ナミさん」
「何でも知っていると言われている情報屋よ。速さと正確さでは、右に出る者はいないと聞くわ」
「そんなにすごいのか?お前」
『さァ…。おれは分かんない』
「ソアリング・ノキって、たしか450万ベリーの賞金首だったな」
ゾロがそう聞くと、ノキは手配書をトランクから出した。
真新しい、白い紙。
『正確には500万ベリーだよ。最近また上げられたんだ。一応、お見知りおきを』
手配書を渡す。
写真は、今と同じ顔のノキだった。
「500万かァ。なかなかだな」
「このキャプテン・ウソップ様には劣るけどな」
『懸賞金0なのに?』
「何!?」
『この船での賞金首はモンキー・D・ルフィ、ロロノア・ゾロ、ロビンちゃんの3人の筈』
「ホントに何でも知ってるんだな」
『この海賊団には少し興味があったから』
(あの会議で、議題にされてたし…)
「おーい、みんな!!船…………と、……人?」
チョッパーが声をかける。
すぐに顔色を変え、双眼鏡を落とした。
「チョッパー。船か?船がいるのか!?」
「いや…うん。いたんだけど………船はもういなくて!!」
「何だよ」
「そこから牛が四角く雲を走ってこっちに来るから大変だ〜〜!!!」
「分かんねェ、落ちつけ!!!」
「何だっつーんだ。!」
雲の上には人。
船めがけて、こちらへ猛スピードで走ってくる。
『…!』
「人だ。誰か来る!!!」
「雲の上を走って来るぞ!!!」
その男は船の前でジャンプした。
「おい止まれ。何の用だ!!!」
「排除する…」
男は静かにそう言った。
その言葉を聞いて、ルフィ、ゾロ、サンジの3人は構える。
「ヴ!!?」
「ぐはっ!!!」
「ブヘっ!!!」
あっという間に3人は甲板に倒れる。
ノキはそれを見て、構えた。
『戦いたくない!!帰れ!!!』
ノキの言葉に耳を傾けず、ノキに攻撃を仕掛ける。
苦痛に顔をしかめ、男をはじき返す。
「!」
「!!?あいつ…強いのか!?」
再びノキに向かっていくと、首に蹴りを入れた。
『か…っ……ゲホッ!』
ノキは首を押さえ、倒れ込む。
男は船の上でバズーカを構えた。
その時だった。
空から、鳥とそれに乗った人が現れた。
「ウ〜ム、我輩。“空の騎士”!!!」