【青の鳳凰】

□未体験の白い海
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地上7千メートル。
ノキは分厚い雲の下で鼻歌を歌っていた。


『ん〜ん〜…♪……ん?』


そこでノキが目にしたのは……雲から突きぬけて落ちる、人。


「あ゙ああああああ〜〜!!!!」
『うわァ!?何やってんだ!!』


高速で飛び、落ちている人を掴まえた。


『ふゥ。間に合った』
「ギャーー!!!浮いてるーー!!!」
『何で落ちたりしてんだよ?空の人間なら、どの辺まで潜っていいかなんて分かってるはずだろ?』


まったく…とため息をついて、腕を引き上げ、背中にひょい、と乗せる。


「おまっ…お前!!飛んでるゥ!!?」
『静かにしててよ。…うわ!今度は手が落ちてきた!?』
「ルフィだ!!」


その伸びてきた手からさらにいくつもの手が生え、2人を掴んだ。
グン!と引っ張られ、雲の海をつきぬけ、空の上へ…。


「やったァ!!上がっ…」
「!!?」


その2人とともに上がった物は…。


「何かついてきたぞォ!!!」
「いやあああああ!!!」
「ウソップを食う気だ!!!」


巨大な海王類のような生物。
しかし、数分としないうちにその2匹はやられた。


「で、ウソップ。こいつは何だ」


ウソップがしがみついてきた彼は、濡れたマントを絞っている。


「こいつに助けてもらったんだ」
「はァ?ここは空だぞ?」
「飛んでたんだよ。あの羽で」


ウソップが指差す。
自分の事を話していると気づいたノキは、彼らに振り向いた。


「鳥人間だ!!」
「悪魔の実の能力者か!?」
『あー…いや、これは……まァ、いいや』

「ノキ…?」


ロビンはノキの顔を見て、そう呟いた。
自分の名を呼ばれ、ロビンの方を向く。


『…ロビンちゃん?』

「ギャアアアアアアアア」
「うるっっせェな今度は何だウソップ!!!」


2人の雰囲気はウソップによって掻き消された。


「ズボンの中に……………!!なんかいた…………」


そう言い残して、ウソップは気絶した。


「厄日ね」
『…そうみたいだね』
「これが……“空魚”じゃない?ノーランドの日誌に書いてあった“奇妙な魚”」


ロビンはウソップのズボンの中にいた魚を持って、楽しそうに観察をする。


「おそらく海底のないこの“空の海”に対して、生き残る為にいろんな形で進化を遂げたんだと思うわ」


ルフィはその魚をサンジに持って行く。


「ソテーにしてみた」
「こりゃうめェ!!!」
「まだ検証中でしょ!!!?」


ノキはその様子を笑い、船の縁に立った。


「あ、お前」
『ん?』
「ウソップを助けてくれたんだってな!ありがとう!」
「よく見たら可愛らしいお嬢さんですね。お名前は?」


ノキの手を取り、キスをしようとする。
その寸前で、ノキは手を振り払う。


「…コックさん。彼、男性よ」
「ぬわにィイイ!!!?」


ロビンの一言に、サンジは目が飛ぶのではないかというほど驚く。


『…おれ、男だけど』
「言うな!!言うんじゃない!!!」
「エロコックが」
「んだとテメェマリモ!!」

『…』
「気にすんな。いつもああだ」
『ふーん…』
(モンキー・D・ルフィにロロノア・ゾロ…。ということは、ここは麦わら海賊団…)


顎に手を当てて、その船内にいる人物を見た。


「聞いてもいいかしら?あんた、何者?」


ナミがノキの前に立って、そう訊いた。


『ただの情報屋だよ』
「情報屋?」
「ソアリング・ノキ。“水上の情報屋”よ。航海士さん」
「え!!?」


ナミは目を丸くし、ノキを見る。


「“水上の情報屋”?何だ?ナミさん」
「何でも知っていると言われている情報屋よ。速さと正確さでは、右に出る者はいないと聞くわ」

「そんなにすごいのか?お前」
『さァ…。おれは分かんない』
「ソアリング・ノキって、たしか450万ベリーの賞金首だったな」


ゾロがそう聞くと、ノキは手配書をトランクから出した。
真新しい、白い紙。


『正確には500万ベリーだよ。最近また上げられたんだ。一応、お見知りおきを』


手配書を渡す。
写真は、今と同じ顔のノキだった。


「500万かァ。なかなかだな」
「このキャプテン・ウソップ様には劣るけどな」
『懸賞金0なのに?』
「何!?」
『この船での賞金首はモンキー・D・ルフィ、ロロノア・ゾロ、ロビンちゃんの3人の筈』
「ホントに何でも知ってるんだな」
『この海賊団には少し興味があったから』
(あの会議で、議題にされてたし…)

「おーい、みんな!!船…………と、……人?」


チョッパーが声をかける。
すぐに顔色を変え、双眼鏡を落とした。


「チョッパー。船か?船がいるのか!?」
「いや…うん。いたんだけど………船はもういなくて!!」
「何だよ」
「そこから牛が四角く雲を走ってこっちに来るから大変だ〜〜!!!」
「分かんねェ、落ちつけ!!!」
「何だっつーんだ。!」


雲の上には人。
船めがけて、こちらへ猛スピードで走ってくる。


『…!』
「人だ。誰か来る!!!」
「雲の上を走って来るぞ!!!」


その男は船の前でジャンプした。


「おい止まれ。何の用だ!!!」
「排除する…」


男は静かにそう言った。
その言葉を聞いて、ルフィ、ゾロ、サンジの3人は構える。


「ヴ!!?」
「ぐはっ!!!」
「ブヘっ!!!」


あっという間に3人は甲板に倒れる。
ノキはそれを見て、構えた。


『戦いたくない!!帰れ!!!』


ノキの言葉に耳を傾けず、ノキに攻撃を仕掛ける。
苦痛に顔をしかめ、男をはじき返す。


「!」
「!!?あいつ…強いのか!?」


再びノキに向かっていくと、首に蹴りを入れた。


『か…っ……ゲホッ!』


ノキは首を押さえ、倒れ込む。
男は船の上でバズーカを構えた。

その時だった。
空から、鳥とそれに乗った人が現れた。


「ウ〜ム、我輩。“空の騎士”!!!」


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