【青の鳳凰】
□空の席
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プルプルプル…
電伝虫の音が鳴る。
ノキは受話器を取った。
『もしもし』
[フフッ。相変わらず可愛い声だな]
『…死んで。あと、おれの電伝虫にかけてこないでくんない?』
たったそれだけ言って、受話器を殻の上に強く落とした。
舌打ちをしてイスに座ると、すぐに電伝虫が目を開けた。
それが視界に入ったのか、ノキのこめかみに青筋が浮かんだ。
プ…ガチャッ
音が鳴ってすぐに受話器を取る。
『ドフラミンゴ。うざいよ』
[怖ェ顔すんなよ、フッフッフ。可愛い顔が台無しだぜ?]
『うるさいな。何か用?』
ノキはイラだった様子で、貧乏ゆすりをする。
電話の相手…ドンキホーテ・ドフラミンゴはノキと違って、低く笑っている。
[王下七武海の空席を埋める円卓会議があんだよ。てめェも来いって話だ]
『……あァ、クロコダイルの』
(確かアラバスタを乗っ取ろうと……。ん?違うか?ダンスパウダーがどうとか……)
自分が耳にした一番最近の出来事を思い出す。
新聞には、麦わらのルフィが倒した、と書かれていた事も…。
『めんどくさい』
[センゴクからの呼び出しだぜ?]
『…センゴクが?』
(いつもなら呼んでくれるのにな…)
疑問に思いながら、行くかどうか考える。
その疑問は無駄なもので、その相手は多忙により連絡しなかっただけであった。
『ん〜…。じゃあ行こうかな…』
受話器を肩に置いて、頬で押さえると、ノキは紙とペンを持った。
紙に、マリージョア・円卓会議・七武海の空席について、と大きく書きながら、話を続ける。
『でも、何で君が呼んでくるんだよ?』
[フフフッ…。優しさじゃねェか]
『気持ち悪いよ、それ。…で、いつ?』
[明後日だ]
『は?……もっと早く呼んでよ』
通話を切って、ため息をつく。
『…しかたない…』
船室を出て、あたりを見渡す。
『まず船をどこかの港に寄せないと…』
海図を広げる。
風向きを変えて、近くの島に船を寄せた。
錨をおろして、扉に鍵をかけた。
それから、口笛を吹いて、鳥を呼び寄せる。
『見張っててくれる?…うん。ありがとう』
小さな頭を撫でて、ノキは背中に生えている青い大きな翼を広げ、バサリ…と音を立てて羽ばたいた。
勢いで船が揺れる。
ノキの姿は、一瞬にして空に消えた。