ら行お題5×5
1音1題使用必須。




【ら】ラブラブっぽい。

好きな色というのは、似てくるんでしょうかね。

朝から続く雨の中。
灰色にも見える世界で鮮やかな花が2つ。
形やシルエットの違う、2つの傘。
けれど2つは、こちらに笑い掛ける彼の瞳と同じ色。






【り】理想はあと5p

「んっ……」

爪先を立てて、めいいっぱい腕と身体をを伸ばす。
あと少しで届くのに……、

「あぁ!!」

指が当たって逆に奥へ押しやってしまい、今までの努力が全て水泡に帰す。

「どうした?」

お客様だから手伝いはしないで下さいね、と台所への立入りを禁止していたイギリスさんがたまり兼ねたように顔だけを覗かせた。

「すみません。重箱が取れなくて…、」

指を指したのは台所の上の棚。
綺麗な漆黒の木箱が、入口よりやや奥に見えた。

「踏み台を持ってこなくては…」
「なんだ、そんなの俺が取ってやるよ」

彼は台所に入ると、実に呆気なく木箱を手に取り日本に手渡した。

「ありがとうございます」

礼を言っても、あんなにも簡単に取られてしまうとなんだか悔しい。

「せめて、あと5cmは……、」
「ん?どうした?」
「いいえ」

不思議そうにこちらを見下ろす彼。
この角度から見える姿を気に入っているから、まぁ良しとするか。

でも今度からは踏み台を常に置いておこうとは、胸の内だけに留めておいた。






【る】流罪にでもしてやろうか

「お前の為じゃないんだからな!!あくまでこれは俺の為であって……」

恥じらいながら、この世のものとは思えないモノを片手に差し出される。

『おのれ流罪にでもしてやろうか』

心の底から思ったが、すぐに相手が7つの海をまたに掛けた元ヤンであることに気が付き思わず舌打ちをした。






【れ】歴史上類をみないほどの馬鹿だな

「死にたい死にたい死にたい死にたい……」
「はいはい、分かりましたから」

先程から布団を被り、呪文のように同じ言葉を繰り返す。
いつものようにお酒に酔って、
いつものように羽目を外して、
いつものように後悔をする。

そんなに後悔するのならお酒を止めれば良いと思うのだが、それが継続したことはない。

昨日の夜も、急に訪れた彼はすでにできあがっていた。
と言うよりも、何処かで既に発散してきたのだろう。
落ち着いているというか、なんだか凄く素直で甘えん坊の彼だった。
そのまま流れで夜の営みもまぁ過ごしたが、いつもは見れない彼の姿が見れたことが私にはとても嬉しかった。

けどそれは彼のプライドが許さないみたいで、朝からずっとあんな調子だ。
私は1つ溜息を零す。

「イギリスさん。もういい加減にして下さい。せっかく一緒にいるのに、貴方は私との時間を無駄に過ごす気ですか」

少し拗ねて言えば、ようやく呪文が止み、もそもそと布団が動いて彼が暗闇からこちらを伺った。
やっと見えた彼に微笑み、額にそっと口付ける。

「私、貴方の全部が好きなんです。ですから、私には全部見せて下さい」

普段出さない甘えた声音で、彼に向かい両手を伸ばす。
するとようやく芋虫は住み処を離れ、強く私を抱きしめてくれた。

こんな情けなくてどうしようもない貴方も可愛いなんて、きっと他の方にしたら私はよっぽどの馬鹿なんでしょうね。






【ろ】労働に対する正当な報酬だよ!!

「そこ、スペル違うぞ」
「え、どこですか?」
「そのちょっと手前の、そう、そこ」
「あ、ほんとです………………って、ちょっと待って下さい!!」
「駄目だ」
「ただのスペルミス……………ひゃっ!!」

ピチャリと濡れた音と共に日本は左耳を抑えて悲鳴を上げた。
それに対しイギリスは涼しい顔で隣に立っている。

「もう、なんでこんな………」
「お前が教えて欲しい、つったんだろ」
「こんなことまでお願いしてません!!」

涙目で訴えるが、もちろんイギリスは貸す耳を持たない。
やるならペナルティがあった方が良いだろうと言ったイギリスに、日本は手は出さないで下さいと入念にお願いした。
お願い、したのだ。

「手は、出してないだろ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!」

べ、っと舌を出されて思わず顔が赤くなる。

「ほら、次いくぞ」
「うぅ………」

こんなことなら、お願いしなければ良かった。



労働、それ自体が報酬なんて……。




END.





お題お借りしました/xxx-titles様


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