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□2.親友で仲間で好敵手で兄弟で、絶対に敵なんかじゃない。
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先ほど、立海の幸村が出発した。
学校と生徒は五十音順で呼ばれるらしい。
教室に残ったのは、残りは六角の生徒のみとなった。
二分後に、最初の剣太郎が呼ばれる。


「…なあ、バネさん。これ、マジなのかな」
「……そうなんだろうよ」
「………夢なら、良かったのね」


皆、力なくぽつぽつと言葉を交わした。
剣太郎は膝を抱えて俯いている。
時折、佐伯がその頭をぽんぽんと優しく叩いている。


「…ぼく、いやだよ…」


掠れた声が、俯いた剣太郎の口から漏れた。


「ぼく…みんなが、しぬのは、…いやだよ……みんなをころすなんて、もっといやだ…っ」
「―――六角中、葵剣太郎」


男の声に、剣太郎はびくりと震えた。
幸村が出て行ってから、二分が経過したのだ。
顔を上げた剣太郎の顔は、涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった。
佐伯が、いつも通りの笑顔を浮かべて、ジャージの袖でその顔をごしごしと少し乱暴に拭ってやる。


「何て顔をしてるんだよ、剣太郎。しっかりしろ、部長だろ?」
「だって…!」
「剣太郎、心配することないのね」


佐伯の後ろで、樹が微笑んだ。
男が再度剣太郎の名前を呼んで急かす。


「剣太郎。エリアを出たら、何処かに隠れてるんだ。二分後にはすぐにダビデが追いかける」


佐伯が剣太郎に耳打ちすると、天根がああ、と頷いた。
最後に全員でわしわしと剣太郎の頭を撫で繰り回して、黒羽が剣太郎の背を押した。


「大丈夫だ、剣太郎」


力強い声に、剣太郎は鼻水をすすって歩き出した。


 
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